2017.01.16

【インタビュー】カフェバー&レコードショップ 「CITY COUNTRY CITY」 平田立朗さんインタビュー

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ミュージシャンの曽我部恵一さんがオーナーを務める「CITY COUNTRY CITY」(以下CCC)は、音楽ファンが足繁く通うカフェバー兼レコードショップ。眺めても聴いても楽しめるレコードと、美味しい生パスタ、白を基調としたナチュラルな雰囲気が心地よい店内は、コアな音楽ファンから家族連れ、女性一人でも入れるくつろぎの空間になっています。

今年で10周年を迎えたCCCの今までのことと今後について店長の平田立朗さんにお話をうかがいました。








──お店の雰囲気が素敵ですよね。剥き出しの壁も、古材のテーブルも。

ありがとうございます。業者に任せず、ほぼ自分達で改装したんですよ。壁に板が貼り付けられていたので、それ全部壊して。すごく大変だったのに、業者を入れるよりもお金がかかるという(笑) でも自分達で作ったので、愛着がありますね。



──長くお店を出していて、下北沢はどんな街だと感じましたか?

この街の規模でライブハウスが15店舗くらいあるので、常に面白いことをやっているというか、若い子が面白いことをやりやすい場所なのかなと思います。

あとは、普通だったら長く続くようなチェーン店や大きい店が1年以内に潰れてしまったりして。そういうのは、あまり他にはないのかなと思います。流れが速いんですよね。逆に言えば下北沢が好きだとか、しっかりとした理由のあるお店は残っているような気がするんですよね。



──流れの早い下北沢でCCCは10周年を迎えましたよね。何かご自身の中で変わったことはありますか?

変わったことはあまりないですね。10才になったという感じで、まだまだだなと思います。周りに古いお店がいっぱいあるので、僕的にはまだ小5くらいの感覚です。



──そもそもなぜ下北沢でお店を開こうと思ったんですか?

僕がよく下北沢で遊んだり、ライブに行ったりしていたというのもあるんですけど、オーナーの曽我部が2004年に自分のレーベル「ROSE RECORDS」を下北沢で設立したことが大きかったですね。

僕は元々サニーデイ・サービスが好きで。一度バンドが解散してしまったんですけど、その頃に三宿のWEBというクラブで月に一度パーティーをやっていて、そこで曽我部と仲良くなったんです。最初の頃はレーベルも手伝っていました。僕も曽我部もレコードが好きで、一緒にレコード屋さんを見て回ったりしていて。いつかレコード屋さんを開けたらいいよねって話をしたのは覚えていますね。







──CCCではレコードショップとカフェを並行してやっていますよね。

今はアナログレコードが再燃というか、若い子が聴き始めていたり、若いバンドがレコードで出したりしているんですけど、10年前は割と低迷していたんですよ。それでレコードだけだとちょっと怖いよねという話になって。友達が集まって飲めるような、そういう場所があればいいんじゃないかということで、最初はお酒やコーヒーを出していました。

その時曽我部がやっていた「曽我部恵一BAND」っていうバンドメンバーのギタリストがバンドをやりながら町田でパスタを作っていて、「パスタもやれば?」みたいになって。そういう流れでカフェのメニューが充実していきました。



──生パスタとチーズケーキが人気ですが、これらも全部?

そうなんです、レシピ全部。今はうちを辞めていて、聖蹟桜ヶ丘の方で自分のお店を始めています。うちは最初はレコードがメインでしたが、今はカフェのお客様もレコードのお客様もバランス良く通ってくれている感じはしますね。





──レコードのプレイヤーが置いてあるんですね。

試聴ができるんですよ。今やどこにでもありますけど(笑) 90年代は置いてないところが多くて、試聴できればいいのになっていう想いをこのお店でやっています。「これ聞きたいんですけど」と言われたら「どうぞ、どうぞ」という感じで、なんでも聴いてくださいというスタンスなんです。聴き方がわからなければ教えますよ。すごい簡単です。



──平田さんとレコードの出会いはいつだったんですか?

やっぱり90年代ですね。当時高校生で、ソウルとか音源の楽しさをその頃に知りました。



──始めて買ったレコードは何ですか?

最初って何を買えばいいかわからないじゃないですか。とりあえず安い物を買おうと思って、パールジャムというアメリカのバンドがいるんですけど、そのボーカリストの奥さんがやってるバンドのレコードを買いました。全然良くなかったです(笑)失敗でしたね。

初めてレコードを買う人は、名盤をちゃんと買った方がいいなというのをその時に気づきました。最初に良くないレコードを買うと、深くのめり込めなくなっちゃう気がする。とっかかりが大事だと思いますね。



──高校生の頃から近しい存在だったレコードですが、その魅力は何だと思いますか?

ジャケットですね。音質だという人もいるんですけど、僕は音質は特に気にしません。部屋によって音は変わってしまいますし、スピーカーもアンプもとこだわるとキリがないので。こだわる人は全然こだわってもらっていいんですけど、僕は別にアナログ至上主義というわけではなく、音がどこかで流れていればいいなと思うくらいなので。ジャケットのインパクトとか、独特のムードとかが魅力だと思います。





──ショップ内のレコードはアメリカで買い付けされているそうですが、どういったポイントに注目しているんですか?

曽我部さんがオーナーということで、ブラックトップの名盤ですね。僕自身は最近ブラジルのレコードが気になっています。ボサノヴァとか、なんでもあるんですけど、ポルトガル語だしちょっと独特の感じがあって新鮮に響いて面白いですね。ブラジルのディスコとか、ソウルとかそういうのが本当に人気がありますね。



──マイブームはありますか?

最近オーストラリアのお客様が増えているんですよ。レコードをたくさん買ってくれたり、ご飯を食べてくれたり。その中でアーティストも来てくれて。ANDRAS FOX(アンドラス・フォックス)っていうまだすごい若いアーティストで、基本ダンスミュージックもやるんですけど、アンビエントっていう音楽もやってて。環境サイドの音楽がすごい気持ち良くていいです。



──店名は「War」の名曲から取られているそうですが、それはなぜですか?

曽我部も僕もWarが好きなんです。60年代後半からニューヨークでずっとパーティーを続けているデヴィッド・マンキューソっていうDJがいて。先月亡くなってしまったんですけど、ロフトっていうパーティーで。そこでずっとかけられていたものをロフトクラシックって言うんですけど、その中の一曲が「CITY COUNTRY CITY」なんです。曲名通りに、カントリーから始まって、徐々にグルーヴ感あるダンスミュージックになったり、また戻ったりとか。この曲が好きだったというのと、都会の中の田舎というか、ちょっとほっこりした場所というイメージがぴったりだと思ったんです。

あと、最近気付いたのは、アメリカにレコードの買い付けに行く時、レンタカーを借りるんですよ。街から街に移動しながらレコードを買っていくんですけど、お店の名前通りだなっていう。



──街から田舎に行って、また街へ行くという?

そうそう。そういう道のりっていう意味もあるのかなって。



──買い付けしてて何か印象に残ったエピソードはありますか?

コンベンションという、アメリカのディーラーさんが週末に集まるレコードショーで知り合った人に「家来いよ」って言われて行ったことがあります。家にいっぱいレコードがあって、そこで買うんですけど。ロッキーさんっていう人なんですけど、色々リードしてくれるんで、彼と出会ったのは大きいですね。先月も会いました。そういう出会いっていいなぁって思います。

でも基本的にレコード屋しか行かないのであんまりエピソードはないですね。僕の場合はレコード屋、運転、レコード屋という感じで、遊びとかは一切ないですね。



──めちゃくちゃストイックですね!運転してて海きれいだな~っていうのもないんですか?

そういうのもないんです。場所が中西部で、シカゴなので海もなくて。
湖はあるんですけど、それぐらいなんですよね。もうずーっと田園風景の中を走っていく感じです。



──今後どういったお店にしていきたいですか?

レコードとパスタだけじゃなくて他もできればいいなっていう。ライブ企画とか、そういう余裕が生まれればいいなと思うんですけど、中々忙しくて。店舗だと音問題とかあるし、30人くらいしか入らないので、ちょっと大きめのところでバンドが見たいねっていうことで、フィーバーでやりました。





──下北沢で良く行かれるお店はありますか?

茄子おやじっていうカレー屋さんには昔から行っています。最近おやじさんが引退しちゃったんですよ。新しく若い子に店を任せてると思うんですけど、きっとこれからも通いますね。あとは珉亭(みんてい)という中華料理屋さん。昔からやっているところで、甲本ヒロトさんがバイトしていたんですよ。レコード屋さんにも通います。



──お休みの日は?

午前中は寝て、子供が帰ってきたら遊んだりしています。僕は土日が休みないんで、子供と遊ぶ時間もあんまりないんです。



──ご趣味はありますか?

レコードしかないのも寂しいなと思ってて、今探してるんですよ。本当にレコードばっかりなんで。山とか、ちょっとパッと行けるところで、趣味にできたらなって思います。



──レコードに出会った時から趣味がレコードなんですか?

そうですね。昔はパーティーが好きでよく行ってましたけど。子供できると全然行かなくなっちゃって。



──野外フェスは行かれますか?

去年のフジロックはサニーデイ・サービスが出たんで、ちょっとゲストも出してもらって。若い時は行っていたんですけどね。最近は全然です。



──最後に今後の目標を。

大きい目標は特になくて。初志貫徹というか、暖かい気持ちでお店を出て行ってもらえるようなサービスを提供していきたいという気持ちを常に持ってやっていきたいです。そういう気持ちは慣れると忘れてしまう部分もあると思うんで。常にフレッシュな気持ちでやっていけたらと思いますね。



お店を始めた時の気持ちを忘れずに経営を続けていきたいと言う平田さん。これまでも、これからも、皆が集まれる暖かい場所として、CCCが変わらずにあり続けるというのは実家のような安心感がありますね。平田さんに会いに、レコードを買いに、美味しいケーキを食べに。都会で疲れたらお店を訪れて、一息ついたらまた都会へと戻る。店名の通りの憩いの場として通いたくなるお店でした。






  • CITY COUNTRY CITY

  • 住所東京都世田谷区北沢2-12-13細沢ビル4F
  • TEL03-3410-6080
  • 営業時間平日 12:00-25:00 / 土日祝 11:00-25:00
  • 定休日水曜日定休
  • URLhttp://city-country-city.com/




 

ライター

ローカルデータ編集部

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