2017.02.11

【インタビュー】古いもの×シンプル。日用雑貨とお洋服のお店「ポタジェロネ」久保あゆみさんインタビュー

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三角お屋根がトレードマークの「Potagerlone(ポタジェロネ)」は、古くて大人かわいいアイテムがぎゅぎゅっと詰まったお店。オーナーの久保あゆみさんがヨーロッパへ行き、1点1点見定めて買い付けたお洋服、アクセサリー、キッチン雑貨が並びます。「飾るだけよりも生活に取り入れて欲しい」という久保さんの想いから、ヴィンテージものの貴重なアイテムも手の届く価格で提供されています。今回の取材では久保さんに、自身のこだわりが詰まったポタジェロネについてお話をうかがいました。






──お店を開くまでの経緯を教えていただけますか?

最初は自分でお店をやろうとは考えていませんでした。古着屋さんやヴィンテージ雑貨と食器を扱うところで働いていたので、ぼんやりとやってみたいという気持ちはあったんですが、自分がお店をやるなんておこがましいという想いもあって。でも今のタイミングでやらなかったら、たぶんもうやらないだろうなという年齢になってきて、やるなら今だと思いました。



──下北沢でお店を開こうと思ったのはなぜですか?

下北沢が昔から好きだったんです。学生のときもよく来ていました。後ろ姿だけでも「あ、あの人だ」ってわかるくらい、当時は個性的な人ばかりで(笑)物件は下北沢以外では探しませんでした。感受性が豊かだったころに衝撃を受けたのが下北沢だったので、固執していたのかもしれないですね。







──昔から古いものがお好きだったんですか?

お洋服に限らず雑貨も古いものが好きでした。道を歩いていても古い車だと見ちゃいます。実家にいたときはサラダボウルにスカーフを入れてお部屋のインテリアに使っていたりしていました。勝手に自分の部屋のドアノブを付け替えたり、家の中のドアなのにドアノッカーをつけたりもしていました(笑)



──当時やっていたことがお店に生かされているんですね。この物件はもともと壁に板が貼られていたんですか?

ネジが打てるように大工さんにつけてもらって、色塗りは自分でやりました。もともと荒れた物件だったんです。隣に古着屋さんがあるんですが、「廃墟みたいだったのにすごくかわいくなった」と驚かれました(笑)オープンしてから日々DIYを繰り返しながら、いろいろ手を加えています。








──天井にディスプレイされているドライフラワーが素敵ですね。

最初の頃は陶器や花瓶を買ってくださってくれたかたにオマケとしてドライフラワーをつけていたんですが、お花だけ欲しいというお客さまが増えてきて、今は売って増やしてを繰り返えしています。自分でつくったり、既にドライになっているものを買ってきたりしています。ご近所にある「 milcah(ミルカ) 」というお花屋さんにちょくちょくお邪魔させていただいています。



──イギリスで買い付けをしているとか。

イギリスに買い付けに行っても、イギリスのものだけが手に入るわけではないんですよ。ヨーロッパは陸続きだったので、フランス、イタリア、アメリカのものも多くあります。向こうで日本のブラウスに出会ったこともあるんですよ。買い付けたものは一度お家で洗濯するんですが、洗濯表示が日本語で書かれていて。巡り巡って連れて帰ってきちゃったなって思いました(笑)



──買い付けのときはどんなポイントを見てらっしゃるんですか?

流行りものは他の古着屋さんにも置いてあるので、それよりシンプルだけど形が変わっているものや、古着ならではのデザインを選んでいます。だからファッション雑誌は見ないですし、古着屋さんにも行きません。流行っていると言われてしまうと、あえてそれをやらないように意識してしまうので。






飾るだけよりも生活に取り入れて欲しい



──食器に関してはどんな点に注目しているんですか?

食器に関しては「こういう料理をのせたい」とイメージがつきやすいものを仕入れています。飾るだけよりも生活に取り入れて欲しくて。せっかくいいお料理なのに、お皿にこだわっていないともったいないなって思うんです。センスのいいお洋服を着てるのに下着を何年も変えてないとか、見えないところに気をかけないのは素敵じゃないと思います。見えないところにも興味をもってもらえたらきっと楽しいですよ。



──アンティーク品というと安くても数万円するのが普通のことのように思えますが、ポタジェロネさんの商品はどれもお手頃価格ですね。

「これくらいの価格だったらデイリーに使えるな」と思ってもらえるような価格にしたいんです。食器屋さんで働いていたころ、せっかくいい食器を買っても、もったいなくて飾っているだけというお客さんが本当に多くて。

突き詰めて言えば、紙のお皿やコンビニのトレーそのままで食べてもいいわけですよね。衣食住の中で雑貨にお金をかけるというのは、必要かと言われたら不必要な部類で。だけど、そういうものに時間をかけたり、お金をかけたりすると、心や生活の潤いに繋がります。必要なものにだけお金をかけているのは暮らしをする上でとてもつまらない、能動的な作業になってしまっていると思うんです。うちではできる限りお手頃な値段で提供して、今までそういうことを気にしていなかった人たちが興味を持つとっかかりになれたら嬉しいです。










──お気に入りの食器を使うことでどんな効果があるのでしょう。

素敵な食器を買うと、今まで料理をしてこなかった人が「ちょっと料理をしてみようかな」と思うようになって、「美味しいものができたし、友達を呼んでみようかな」、「それじゃあ部屋を片付けよう」と、だんだんと心が、生活が豊かになっていくんですよ。実は食器って、人が前向きになっていくのに最適なツールなんですよね。



──ご自身もかわいい食器を使っていらっしゃるんですか?

使っています。自分で買い付けたものを使えたら一番いいんですが、一点ものが多いのでなかなか難しいですね。ヴィンテージものを扱っている人の苦しいところだと思います。自分がいいなと思ったものを手放す職業なので。「いいなと思って買ってきたのに、手放すの辛くありませんか?たまには自分のものにしないんですか?」とお客さんによく言われます。でもそれを1回やりはじめたら、全部手放せなくなってしまう(笑)

うちで買ったお洋服を毎回着てきてくださったり、「あれ使ってるんですよ、すごいよかったです」と言っていただけたりすると、手放してよかったと思います。それが楽しいのかもしれません。



──木製の食器ってお手入れは大変ですか?

木製のものは急激な湿気や乾燥を嫌うので、水につけっぱないしにしないことと、食器乾燥機にかけないことが基本です。濡れてるものを急激に乾燥させると割れてしまうんですよ。それさえ気を付けていれば普通の食器と同じように洗っていただいて大丈夫です。使っていくうちに表面が乾いてきたら自宅にあるサラダオイルか、オリーブオイルをキッチンペーパーにつけてなじませてください。だんだんと濃い色になっていきます。革製品と同じで、使うほど味が出てくるんですよ。

木製の食器を輸入するとき、食器として流通していいものと駄目なものがあって。私がお取引しているメーカーさんは検査をしっかりされているところなのでお子さんが使っても大丈夫なんですが、安いものだと気にしていないところもあるかもしれないので、選ぶときには気を付けていただいたほうがいいと思います。









土の中に眠る当時の暮らし


──イチオシのアイテムはありますか?

この瓶(上写真)は面白いと思います。1800年代後半から1900年代初期のものなんですが、当時は今みたいにゴミ処理が発達しておらず焼却施設もなかったので、穴を掘ってゴミを埋めていたんですよ。陶器だから土に還ると思われていたのかな。イギリスには「ディガー」と呼ばれる専門の職人さんがいて、土の中に埋まっていたものを発掘して、状態のいいものだけが今市場に出回っています。ラベルが当時のまま残ってたり、インクやペースト状の牛骨の栄養剤が入っていたものもありました。

蚤の市だと土が残っていたりしますよ(笑)今から180年前のもので、トータルの歴史で見たらまだ浅いかもしれませんが、このあともずっと残っていくのって素敵ですよね。




▲当時のまま発掘されたインクボトル(左)とジンジャービアーボトル(右)。



ジンジャービアーは、ジンジャーエールの発祥と言われているものです。当時は車もない時代なので、市場に出回るまで瓶に入れて船で輸送していたんです。瓶だと波で揺れて割れてしまったり、発泡性なので蓋が外れたりしていたんです。どうしたものかなと思っていたときに、土を掘り起こしてたらいい土が見つかって。もともと建築用で使おうとしていた土だったんですが、これをボトルにしたらいいんじゃないかってなったんです。移動時も割れにくい、栓も飛びにくいといことで大々的に人気が出て、瓶から陶器に変わっていきました。当時から丈夫だったというだけあって、今でもこうやって残っているわけですね。

これはイギリスならでは文化で、私が一番最初にイギリスに行こうと決めたのは、この瓶たちを買い付けたかったからなんです。





▲新婚さんをイメージしてデザインされたお皿。イギリスでは美術館に飾ってあるくらい貴重なものなんだそうです。



──プライベートについていくつかお聞かせください。下北沢でよくいかれるお店はありますか?

うちがテーブルコーディネートをさせてもらっている「the usual.(ジ ユージュアル)」というカフェが北口にあるんですが、プライベートでもよく行きます。カフェをオープンする前に、うちへお客さんとして入られたことがきっかけで。お店の経営の話になって、提供するメニューが決まっているんだったら食器を先に探しておくのも下準備としていいんじゃないですかと伝えたら、次に来たときに「食器のコーディネートしてください」と言われて(笑)こういうメニューを出すならこういう雰囲気の食器がいいねと話し合いながら決めたグラスやカップ&ソーサー、ランチプレートを実際に使っていただいています。



──カフェで自分の食器を見つけたときはどう思いました?

オープンして初めて行ったとき、お客さんがうちの食器を使っているのを見たときはとても感動しました。私は普段自分の買い付けた食器を人に使ってもらっている姿は見れないので、あのカップだ、あのプレートだと実際に目にしたとは本当に嬉しかったです。そんな機会をいただけてラッキーでした。あそこはランチもコーヒーもケーキもおいしいので是非行ってみてください。



──マイブームは何かありますか?

家飲みです。酔っ払いながらファミコンやったりします(笑)ぐでぐでになってカードゲームしたりボードゲームしたりとか。家飲みが楽しい家にしたくて、ダイニングは一番気合を入れています。大きなテーブルにしたり、ワインラックを置いたり。ボトルキーパーもあるんですよ。焼酎が刺さってますけど(笑)



──最後に今後の目標をお願いします。

うちはお客さん同士で会話が生まれることが多くて、それがとても嬉しいんです。お店に来て「帰ってきた~」と言ってくれる子がいたり、この感じは変わらずいきたいです。どうしても商品ラインナップは変わってしまうんですが、雰囲気は変えないようにしたいですね。







インタビューを終えて



ひとつひとつに歴史のあるヴィンテージアイテム。何十年も前に誰かが使っていたものが、現代で別の人の手に渡り、再び使われているというのはとてもロマンティックですね。商品の背景を聞くことで奥行が生まれ、時を超えて出会えたことに感動を覚えます。そんな出会いを求めて、久保さんの愛がつまったお店をぜひ一度訪れてみてくださいね。





  • Potager lone (ポタジェロネ)


  • 住所東京都世田谷区代沢5丁目33-3 ボート代沢C 1M
  • 最寄り駅京王電鉄・小田急電鉄「下北沢」駅 南口から徒歩4分
  • TEL03-6804-0660
  • 営業時間13:00~20:30
  • 定休日木曜日
  • インスタグラムhttps://www.instagram.com/potagerlone/




ライター

ローカルデータ編集部

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