2017.03.30

【インタビュー】近所の人にとっていつもの場所であり続けたい。下北沢のカフェ「the usual(ジ ユージュアル)」川越智代さんインタビュー

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SNSがコミュニケーションの中心となっている現代。パソコンやスマホで簡単に人と繋がれてしまう便利さの反面、顔を合わせて人と会話をする機会が少なくなってきているように感じます。

「今日はあの人のいるお店で朝食を食べてから仕事に行こう」、「お出かけで近くを通るから、ちょっとあの人に挨拶をして行こう」と、そこにいる人に会いに行きたくなるような、「いつもの場所」があったら素敵だと思いませんか?

そんな場所にオススメなのが下北沢のカフェ「the usual(ジ ユージュアル)」。古着屋さんが集まる商業地の一角にあり、ちょっと歩けば住宅街へと通じる場所に位置しています。住んでいる方にとっていつもの場所でありたいという想いのもと、この場所にお店を構えたんだとか。

今回は笑顔が素敵なオーナーの川越智代さんに、お店を出した経緯や、どういった点で「いつもの場所」になるようにこだわっているのか、お話をうかがいました!











──妹さんとバリスタの星野さんの3人で経営されているそうですね。お店の構想から、オープンまでの経緯を教えていただけますか?

妹と何かお店をやりたいねと話をしていたことが始まりでした。その頃は飲食店をやろうとしていたわけではなく、まず自分たちの居場所があって、会いに来てもらえるようなお店にしたいと考えていて。

その日限りの出会いもいいんですが、お客さんと顔なじみになったり、ご近所付き合いをしたり。お店から人との繋がりが生まれたら素敵だなと考えたとき、何か飲食物があった方がいいだろうということでカフェを開くことにしました。



──星野さんはどういった流れで一緒にやることに?

以前私が働いていたダブルトールカフェの先輩なんです。カフェを開くにあたり、星野さんにお願いできたらいいなと思っていて。開業に関して相談したり、お話をしていく中で、お店のコンセプトに共感してくれて。それで妹と星野さんの3人で一緒にやっていくことになりました。



──そうだったんですね!3人で運営していくことになって、何か決めたことはありますか?

それぞれの役割を決めました。コーヒーは星野さんが一番知識も経験もあるのでお願いしています。ラテアートも上手いし、もともと絵心があるので黒板のイラストも描いてもらっています。

メニューに関してはフード開発からケーキのデザイン、日々の調理まで、妹のあーちゃんの担当です。インスタ映えするように、見栄えにも気合が入っているんです。

私はセンスがないので、2人にお任せしている感じです(笑)

◀にこやかに出迎えてくれた川越さん。




▲真剣な表情で作業をする皆さん。3人の連係プレーによってお店が回っています。



▲コーヒーは星野さんの担当。(トレーナーがかわいい) 外からテイクアウトの注文もできます。


──それぞれが得意分野を担当しているんですね!なぜ下北沢でお店を出そうと?

東北沢方面に住んでいるので、最初はそのあたりで物件を探していました。でも、なかなかいい所に出会えずにいて。あるとき物件を探しがてら下北沢を散歩していたときに、南口の ポタジェロネ さんにフラッと入ったんです。

普通にお客さんとして店内を見ていたんですが、オーナーの久保さんと会話をする中で、私がお店を始めるという話になって。食器に関する相談に乗ってもらいながら、お店を出すなら北口がいいんじゃないかとアドバイスをいただきました。

それで北口周辺を歩いていたら、ちょうどここがテナント募集をしているのを見つけたんです。下北沢にこだわったというよりは、この立地が自分たちのやりたい店に合うと思ったからなんです。



──ポタジェロネさんのアドバイスがきかっけだったなんて!この場所を選んだのは、自分たちのやりたい店に合っているとのことですが、それはどういったものなのでしょう?

来てくれる方の「いつもの場所」になりたいという想いがあります。下北沢は観光地として有名ですが、観光客だけでは「いつもの」とは言えないなと考えて、住んでいる方をターゲットにしたいと思っていました。例えば仕事に行く前にここでコーヒーを1杯飲んでいくとか、近所の友達と待ち合わせをするときに「いつもの場所ね」という感じで使ってもらったりとか。

商業地でもあり、住宅地でもあるこの場所はコンセプトに合っているなと感じました。



──なるほど!だからお店の名前が「いつもの」という意味の「the usual」なんですね。

そうなんです。英語で「いつもの」という意味のフレーズを探しました。日本の方は馴染みのお店で 「いつものちょうだい」 という注文の仕方をするじゃないですか。あれの「いつもの」の部分が「the usual」です。

これは後付けなんですが、「usual」単体では「普通に~~」というふうに使うので、「普通の場所なんだけど、なぜか来ちゃう」というような意味合いになっていけばいいなと思っています。



──ロゴの形には何か意味があるのでしょうか。

ロゴは吹き出しをモチーフにしています。いつもの場所でお客さんや、私たちがコミュニケーションを取るようなイメージで吹き出しを選びました。最終的なデザインは知り合いのデザイナーさんに頼んでいます。



▲いつもの場所でのコミュニケーションをイメージしたというロゴ。


──住んでいる方にいつもの場所として使ってもらいたいとのことですが、実際お客さんはご近所さんが多いんですか?

そうですね。すぐ隣が住宅街なので、帰り道に寄ってくれたり、お散歩コースに取り入れてくださったり。朝の仕込みの時間にワンちゃんのお散歩ついでに寄ってくれる方もいらっしゃいます。何を買うわけでも、何を提供するわけでもなく、一番早く来て作業をしているあーちゃんが出ていって、ワンちゃんに癒されてから1日が始まるという(笑)



──その光景に癒されます(笑)お客さんとの距離が近いんですね。接客時に何か心がけていることはありますか?

隙あらば話しかけるようにしています。実際会話をしていると、お客さんもお話をすることが好きな方が多いんだなと感じますね。

私はもともとコミュニケーションに対して苦手意識があったんです。だけど、あえてこういう場を作らないと、きっとコミュニケーションを取らない方へと進んでいってしまうんだろうなと思って。

自分のお店だから、少なからずオーダーの時なりお会計の時なり、お話するチャンスがありますよね。だから全く知らない人に声を掛けるよりはハードルが低い気がするんです。向いているかどうかは別として、行動するように心がけています。



──そんな裏話が!でも川越さんは話しやすいし、コミュニケーションが苦手なようには感じないですね。

少しは上達したのかな(笑) コミュニケーションの大切さを学んだのは前の職場でした。原宿にあったので、一見さんばかりで混み合うし、すごく慌ただしいカフェで。会話をする隙間はなさそうに見えるんですが、先輩スタッフもお客さんも、意外とコミュニケーションを楽しむ人が多かったんです。そこに魅力を感じて、自分でお店を出すときもそういう部分を強くしていきたいなと思いました。



──原宿と比べて、下北沢はのんびりとした雰囲気がありますよね。実際にお店を出してみていかがですか?

すごくムラがあります。人の流れもそうだし、歩いている人の層もその日によって違います。若い方だけでなく30~40代のご夫婦やご家族も多いです。うちは店構えが堅苦しいのか、若い子が入り辛いみたいで。地元のご年配の方やお子さん連れのお客さんが多いですね。




▲インタビュー中に来店された常連さんと一緒に。まるで親子のようにやりとりをされるお2人から、仲の良さが伝わってきました!





──外観も内装も黒や木材を基調としていて、スタイリッシュな印象ですよね。(若い子にも、この良さをわかって欲しい!) どんなイメージで施工を?

星野さん:インスタにアップされているような写真を寄せ集めて、施工の方に見てもらいました。工事をしながら毎回、「これをこうしたらカッコよくなると思うんだけど、どう?」と聞いてくれて、一緒に作り上げていった感じです。初めから決めていたのはレイアウトだけですね。それ以外は施工会社さんにお任せで。だからこんなイメージで作りました、と言葉にはできないんです(笑)


川越さん:大先輩のバリスタさんのお店へ星野さんが相談しに行ったとき、友達だから同じ施工会社を紹介するよと出会わせていただきました。デザインにしろ、予算にしろ、漠然とした相談だったんですが、たくさん話を聞いてくださって。自分たちでは注文できないようなことまで取り入れてくれました。


星野さん:施工の方が「下北で一番かっこいい店になるよ」と言ってくださって。本当に人に恵まれたなと、相談しに行ってよかったなと思いました。





派手でもなく、流行でもない、シンプルで飽きの来ないメニュー





──メニューにはどんなこだわりがあるんですか?

スープはコンソメを使わずに自家製のダシを使っていたり、パンは生地作りから折り込みまでやったりと手作りにこだわっています。

食事のコンセプトが「シンプルで普段使いしてもらえるもの」なので、全体のバランスとして派手なものは一切ありません。若い子からすれば素朴になるかと思いますが、逆にコーヒーの味を惹き立ててくれるんです。あーちゃんはそこにもこだわってレシピを考えています。

流行りのものでも、派手なものでもなく、シンプルで懐かしい味が一番飽きないんじゃないかな。ここで長くやっていきたいので、自然とそういうコンセプトになりました。



──いつもの場所として来てもらえる工夫が感じられます!食器に関してはなぜポタジェロネさんにコーディネートをお願いしようと?

初め頃は好きなデザインで選ぶことも考えていました。だけどポタジェロネの久保さんが選んでくれたお皿というように、人が関わってくれることによって、自分たちの中で愛着が生まれると思いました。その方が、お客さんへ提供するときにも自信を持ってお出しできると思っているんです。




▲珍しい紅茶のエスプレッソ(TXPRESSO)。紅茶でも、かわいいラテアートが楽しめます!コーヒーが苦手な人に嬉しいメニュー。カップはポタジェロネさんに選んでもらったもの。


──素敵な考えですね。地域の方とは何か交流はありますか?

商店街を維持されている方が近くに住んでいらっしゃるんですが、施工の時からいろいろ気にかけてくれて。今ではお母さんのような存在です。商店街のことに詳しく、いろんな方を紹介してくださいました。

お店だと、東通り商店街の「にしんば」さんという居酒屋さんによく行きます。前々から知ってはいたんですが、いつも混んでるからなかなか入れなくて。ポタジェロネさんが常連さんだったらしく、一緒に行かせてもらってからはカウンターでお店の方とお話をしながら食事をするようになりました。最近では疲れると「にしんばの生ハイボール飲みたい」と思って、行っちゃいます(笑)



──人との関わり合いから、交友関係がどんどん広まっていくのがいいですね!最後に今後の展望をお願いします!

お客さんから話かけてもらえると、「会いに来てくれているんだ」と思えてやりがいを感じます。何も注文せずにおしゃべりだけしていくお客さんもいるんですが、それも嬉しくて。そういう関わり合いが当たり前になり、ゆくゆくはお客さん同士も会話をするようなお店になっていけたらなと思います。

究極は観光客の方と地元の方が繋がれる場所になることですね。今は私を通じて繋がることしかできないけど、お店自体が人同士を繋げる橋渡し的な場所になれたらいいなと思っています。昔あった、名物おばあちゃんがいる街角の煙草屋さんのようなお店が理想的ですね。

ここが10年20年続くことで、新しく出すものもあれば、出せなくなるものもあったり、何かしらの変化はあると思います。でも、どんな状態でも近所の人にとってなくてはならない「いつもの場所」であり続けたいです。







インタビューを終えて


「最近ちょっとずつ「いつものちょうだい」と言ってもらえるようになりました。それも嬉しい瞬間です。」と話す川越さん。

オープンして半年ちょっとで、地域に密着しているかどうかはまだ自信がないと話をされていましたが、インタビュー中に何人も訪れた常連さんとの楽しげなやりとりを見ていると、本人が思っている以上に地域の人たちに受け入れられていて、なくてはならない存在になっているんだと感じました。

川越さんによる柔らかな接客、妹さんによる見た目も味もこだわったフードメニュー、星野さんの淹れる美味しいコーヒー。3人揃っての「the usual(いつもの場所)」。お近くにお住まいの方も、そうでない方も、生活の一部として取り入れて欲しいカフェでした。













【下北グルメ×食レポvol.1】the usual(ジ ユージュアル)さんのランチをいただいてきた!

パンもスープもジャムも、とことん手作りにこだわったメニューになっています。どれも美味しそうで目移りしてしまいますね!(ヨダレずびっ!)

ライター

ローカルデータ編集部

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