2017.04.12

【インタビュー】素敵な服と新鮮なコーヒー。The Sun Goes Down(サンゴーズダウン)海野飛竜さんインタビュー

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下北沢駅北口にある「The Sun Goes Down(サンゴーズダウン)」は、店内の一角にコーヒースタンドが設けられてあり、コーヒー片手に店内の洋服や雑貨を見て回れる、ちょっぴり珍しい古着屋さん。オーナーの海野飛竜さんは、人が生きるために必要な衣食住を全て提案していきたいとの想いから、古着とコーヒーを併設させたんだそうです。

今回のインタビューでは、なぜ衣食住をトータルで提供していきたいと考えたのか、食の部分でなぜコーヒーに着目したのか、海野さんにお話をうかがいました。





▲オーナーの海野さん。

コンセプトは「温故知新」


──下北沢でお店を開くまでの経緯を教えてください。

僕は10年くらい音楽活動をしていたんですけど、その時から下北沢にはよく来ていて。ミュージシャンや役者が集う、ちょっとサブカルチャーな街に自分のお店を出したいなと思ったのが1つですね。

はじめに洋服屋としてオープンして、3年目にコーヒースタンドを併設したんです。下北沢に洋服屋はたくさんあるけど、そこにコーヒースタンドが併設している店はなかったし、面白いかなと思いました。

僕は洋服屋の他に、家具や内装デザインなどの建築の仕事もしていて。衣食住のライフスタイルの提案をしていくことが、自分の中で強くやりたいことだった。その第一発目として下北沢に服とコーヒーを併設したお店を出そうと思いました。



──衣食住という事で、ゆくゆくは住に関することも下北沢で?

現時点だと空間の装飾に関する内装だったりとか、リノベーションだったりとか。あとは家具、什器を制作したり。住に関して現時点ではプロダクト制作が中心ですが、ゆくゆくは商業施設や一般邸など大きいスケールの設計デザイン等もしていきたいと思っています。



──幅広く手掛けてらっしゃるんですね。ここのお店を作るときはどんなお店にしようと?

下北沢って、いい意味でも悪い意味でも雑多なお店が多いんですよね。装置産業の大手さんが密集していて、その中で1点1点厳選したお店が少ないなっていうのが僕の狙いだったんで、他の店とは一線を画すような、クラシックだったりとか、重量感があって落ち着いた雰囲気。そういう洋服屋をやりたいなと思いました。

「温故知新」という考えが僕の中にあって。古い物ももちろんいいんですけど、古いものを新しく着ることで、今のリアルクローズとして落とし込みやすいんじゃないかと。それがコンセプトになってますね。






──古さの中にも新しさを、ということですか?

はい。僕の中ではあまり古着屋だと思ってなくて。ヴィンテージをセレクトしているセレクトショップというイメージです。その中に日用品があったりコーヒーがあったりするのは、ひとりのお客さんの衣食住、ライフスタイルを一貫して提供できるから。ゼネラルストアという認識で、今は洋服とコーヒーをやってるという段階です。



衣食住に関する感度の高いことを中小企業でやっていく


──どうして人のライフスタイルを提供していきたいと思うようになったんですか?

話がさかのぼりますけど、昔から人を巻き込んで集団を作ることが好きで。子供の頃は遊びだったりしたんですけど、大人になっても遊びを仕事にするというのが僕の中で理念としてあるんですよ。お客さんが来たときに、生活する上で必要なものを全てうちで提供できれば、その人とより密接になれるじゃないですか。

一つの例ですが10代の時に洋服を買っていた人が、20代になってコーヒーを飲み始めて、30代になってインテリアをお洒落にしていって、40代で家を建てる。そういうところをお客さんの付加価値として、トータルで提案できるところって大手しかないので、もっと感度の高い面白いことを、僕みたいな中小企業がやっていけたらなって思ってます。









──なるほど。衣食住のところで、なぜコーヒーにしようと?

それは単純にコーヒーが好きだからです。僕はお酒を飲まないんですけど。

コーヒーっていうのは1960年くらいから定着していて、今はサードウェーブという新しいコーヒーの流れも出てきています。新鮮な豆、トレーサビリティ、生産地、正しい抽出方法。そういったところに目を向けるようなコーヒーの文化がやっと定着してきたなというのを感じていて。シアトル系と言われているような、スターバックスさんとかタリーズさんみたいなところではなくて、単純に新鮮なコーヒーをそのまま美味しく飲めるような生活ってすごい素敵だなと思っていて。

僕自身はずっとやっていたことなんですけど、それを洋服のお客さんにも付加価値として提供したいなと。コーヒーから洋服に行ったり、その逆も考えています。



──実際にコーヒーを飲みながらお洋服を見ていく方は多いんですか?

多いです。もちろんコーヒーだけのお客さんもいるんですけど、コーヒーが入口なだけで、そこから洋服だとか、逆もあったりとか。下北沢を散策するときの魅力って、素敵な洋服や雑貨を見ることやお洒落なカフェで話をしたりすることだと思うので、それをまとめてやりたいなと。



──お店を通じて地域の方とのやりとりってありますか?

コーヒーを始めたことで、近隣のお店の方が休み時間に来てくれます。洋服だけをやっていた時に比べたら、今の方が地域に溶け込めたかなとは思っています。



──北口はコーヒー屋さんが何件かありますよね。結構激戦区なのかなって。ここのコーヒーのこだわりは?

コーヒーは8割方焙煎で味が決まるんです。抽出方法はもちろん大切なんですけど、何より新鮮な豆であること、コーヒーの焙煎の仕方が正しくできているかっていうところが大事で。だからうちでは自家焙煎をするよりも、長くそれだけをやっているプロの方にお願いしています。100g単位で発送してもらっていて。腕のいい焙煎家さんが焙煎したコーヒーを、少量ずつ店内に郵送していただくことで、より新鮮に美味しいコーヒーを飲めるようにしています。




▲相方でありデザイナーの渡邉宏道さん。


──そういえばお店の名前の由来は何でしょうか?

The Sun Goes Downというのは、日が沈んでいく状態を意味していて。ちょっと日が沈んできて、人が減ってきたときに、大人のたまり場のような居心地のいいお店を作りたいという想いから来ています。それと、太陽が沈んでまた上がってくるのが、古い物から新しい物へと移り変わる様が温故知新と同じで。時代が変わっていっても、ずっと継続してやっていけるようなお店にしたいという願いを込めてます。



相方が生まれることによって、今までできなかったことができるようになった


──そんな深い意味が!相方である渡邉さんとやるようになったきっかけはなんだったのでしょう?

もともと地元が一緒で、古くからの友人なんです。
彼は建築の人間なんですけど、プロダクト制作やファッション、ライフスタイルという部分にすごく興味を持っていて。僕はずっと洋服の仕事をしていたんですけど、相方が生まれることによって、今まで僕ができなかったことができたり、建築寄りなことがより深くできるかなと思って。それで僕がお声かけをして、渡邉もやりたいということなので、そこから始まりました。



──渡邉さんに入ってもらって、世界が広がったなと感じることは?

あります。基本的にインテリアを製作する際は正確な図面が必要です。
建築の構造や荷重の計算だったり、建築の知識が必要になってくるので。

僕は正直そこに関しては、設立当初は全くの無知だったので。話を聞いて、少しずつ勉強して今に至りますね。OTOPRODUCT(オトプロダクト)という名前で、建築の方をやっているんです。なので「オトコーヒースタンド」なんですよ。これはあくまで建築デザインと、プロダクト制作の方で併設したコーヒースタンドという形で併設していて。

コーヒーを始めようと考えたとき、設備を業者に頼まずに自分たちで作れたのは、建築の知識がなければできないことなので、とても助かってます。






──お仕事をされていて、何かやりがいを感じる時はありますか?

やっぱりお客さんに喜んでもらったときですよね。今は保守的なファッションをする方がとても多くて、個性のない時代になってきているんですけど、うちでは1点ものを扱っているので、他で見たことのないデザインだったりとか、その中で新しいファッションにチャレンジしてもらえたりとか。チャレンジしたときに、とても気に入って頂き、また来てもらったりすると嬉しいですね。

コーヒーに関しては、苦手な人もブラックで飲めるコーヒーだと、よくお客さんに言っていただけるんですけど、そのときはとても嬉しいですね。



──仕入れる洋服をセレクトするときは何を意識して?

あくまで小売店なのでマーケットインが基本です。トレンドを意識して買い付けしています。ただ、それだけだと他のお店と変わらないので、うちのテイストというかうちらしい雰囲気は意識しますね。オリジナル商品も不定期で製作していますが、こちらはプロダクトアウトを意識することもあります。

まだファッションをあまりわからない子たちに、全体のコーディネートの仕方を発信できたらいいなと思ってますね。



──少しプライベートについて教えてください。この辺でよく行く飲食店はありますか?

一龍(いちりゅう)はよく行っています(笑)
すぐそこなので、よくお世話になってます。



──マイブームは何かあります?

僕の頭の中は仕事と遊びが全く一緒なので、何か面白いことをしたいなと思って、考えることが好きです。街を歩いていてお店があったときに、こういう商売があるんだ、こういう面白いことがあるんだ、というふうに考えてますね。それがマイブームかもしれません。常にアンテナを張っています。



洋服は、ロマンがあるべきもの


──最後に今後の夢や展望をお願いします!

衣食住というのが僕のテーマなので、もっとスケールを大きくして、もっとたくさんの人によりいいサービスとかものづくりを発信していきたいなと思っています。

洋服に関しては大量生産の時代で、ファストファッションだったりとか、低価格の洋服をワンシーズンで使い古すみたいな着方をする方が非常に多くて。やっぱり洋服というのは、ロマンがあるべきものです。当然いい服というのは素材が良かったりとか、作りが良かったりとか、それなりの理由がしっかりとあるので、もっと洋服を好きになって、すぐ捨てちゃうような服ではなく、ヴィンテージと同様で、長く着れるようなお気に入りの洋服、お気に入のファッションというものをもっと知っていただけたらいいなと思います。それをうちが手助けできれば。

コーヒーも同様です。酸化した雑味やエグ味ではなく、豆本来のもつ自然な苦みや甘みを味わってほしいですね。







インタビューを終えて


どんな質問にもハキハキと、迷いのない言葉を返してくれた海野さん。話しているといつの間にか惹き込まれていて、昔から集団を作ることが好きだとおっしゃっていたのも納得。「この人についていけば間違いない」というような、頼れる兄貴的な印象を受けました。

ファストファッションが流行している世の中。安さだけにとらわれず、本当にお気に入りの一着を見つけて、大事に身に着け、時間と共に変化していく風合いを楽しんでいけたら素敵ですよね。コーヒーに関しても同じで、大手チェーン店が提供するものではなく、豆や焙煎の方法にこだわった良質なものをじっくりと味わう。

そういった「こだわり」が詰まった海野さんのお店を通してなら、生活の質を高めていけそう。まずはコーヒーから、そして洋服へと、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。


インタビュー・写真:もんとみ




  • The Sun Goes Down(サンゴーズダウン)


  • 住所東京都世田谷区北沢2丁目32-7
  • 最寄り駅京王電鉄・小田急電鉄「下北沢」駅 北口から徒歩3分
  • TEL03-6804-7545
  • 営業時間12:00~21:00
  • URLhttp://www.thesungoesdown.jp/






ライター

ローカルデータ編集部

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