2017.04.29

【オーナーインタビューvol.21】下北沢のビールが飲めるちょっとおかしな美容室!?T:Luck 伊藤聡司さんインタビュー

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仕事帰りに飲むビールは最高ですよね。でも、家に帰ってからお風呂に入って、シャンプーして、髪を乾かすのって結構めんどくさい・・・。ビールを楽しんでいる間に、シャンプーとブローが終わってたら最高だと思いませんか?

下北沢の北口にある「おかしな美容室 T:Luck」は、「シャンプーブロービール」というメニューのあるちょっと変わった美容室。ブローをしてもらっている間にビールをいただけるから、帰ったらメイクを落としてシャワーを浴びて寝るだけ。仕事に追われる多忙女子には嬉しいシステム!

しかも美容室なのに、英会話からカメラ会、さらにポールダンス(!?)といった多種多様なイベントも開催。「髪を切らなくてもいいから遊びに来てほしい」というオーナーの伊藤聡司さんにお話をうかがいました!









──オープンして1年くらいですよね。それまでは?

8月なんで、まだ9ヶ月くらいですね。独立願望がなくてずっと町田で雇われ美容師だったり、フリーの美容師だったりして働いていたんですよ。友達がお店を湘南の方に出すことになって、そこに手伝いにいっていたんですけど、彼を見てる間に自分もやりたいなと。じゃあ、と思って町田に店を出そうと思って町田に帰ってきて。なぜか今、下北っていう。



──なぜでしょう?

最初は町田でやる予定で、物件も全部決まっていて。うちは今、ビールが飲める美容室をやってるけど、その町田の物件の1階が僕の友達がやってるバーだったんですよ。完璧じゃないですか。ここしかない!って。そこにいざ行ったら、いろいろトラブっちゃって。半年位は頑張ったかな…結局それでダメになっちゃって、ふてくされてたら、たまたまこの(下北沢)物件が空いて。



──ふてくされてた(笑)下北沢の物件って前は何が入っていたんですか?

僕が入る前は雨具屋さんでしたね。そこが5月いっぱいで出るってなって、僕が見つけたのが4月末くらい。本当にいいタイミングだったんです。
家賃とか調べたら町田って結構高くて、下北とか原宿とかとあんまり変わらなくて。都内の方が来やすい人もいっぱいいるし。



──それまで下北沢にはよく来られてたんですか?

それがね、全然縁もゆかりもなくて。僕今年39歳なんですけど、ちょうど高校生くらいの時って結構ヴィンテージブームだったんですよね。Gパン1本10万円とか、そういう時代で。下北に来る人はもちろん若い子もいっぱいいたけど、そういうのにお金を使える方々がいっぱい来てたんですけど。その感じで来たら、割と今はそういう人たちがいなくて、年齢層がすごい若いな、とは思いましたね。



──こちらのお店でターゲットにしている方とかは?

僕は年齢で縛ること自体が違うと思っていて。なんか…ねぇ…。居心地の良さに年齢性別関係ないと思っていて。



──そこは感覚?

そう。人種って言ったらおかしいですけど。僕はビールを飲める店をやっている理由が、海外旅行に行って、言葉がわかんなくても、ビールを通じてなら仲良くなれちゃう。そういう感覚の人たちを集めたい。それってたぶん、若い子でもお酒飲まない子でも関係ない。そういうフランクな人たちが来てくれたらいいなっていう。そうするとある程度メンタルに余裕のある大人の人たちっていうのが答えになるかなぁ。







東南アジアへの海外旅行が価値観を変えた


──なぜ「ビール」だったんですか?

僕、バイクがすごい好きなんですけど、4年前くらいにちょっと距離を置いたんですよね。今までずっとバイクに使っていたお金で、海外旅行に行ってみたんです。よく言うじゃないですか、海外行ったら考え変わるよ、みたいな。

そこで言葉もわからない、知らない外国人のおっちゃんに「ウェーイ!」って乾杯したらめっちゃ仲良くなって、ビールを奢ってもらえたりして。そのおっちゃんとはfacebookで今でも繋がってます(笑)



──外の空気、外の世界に触れるとそうなりますよね。

僕は東南アジアにちょこっと行っただけだったんですけど、飯食いに行ってもスタッフ同士がベラベラ喋ってたりとか。洋服屋行っても、ビルがオープンしてるのに洋服屋が閉まってる。洋服屋なのにトムヤンクン食べて匂いつくじゃん、とか。そういうのに対して最初はイラっとしたんですけど、でも何回も遊びに行っていろんな国を見てるうちに、「人間だしお腹空くよね」、「暇だったら喋ってもいいじゃんね」って思えるようになってきて。そうやって働いているスタッフさんが楽しそうに仕事をしていて。これって意外と面白いんじゃないかなって思って、そこにお客さんを巻き込んだらいいかなって。それで、ひとつの潤滑剤が僕の中でビールだったんですね。

美容室って「お客様」「いらっしゃいませ」「お荷物お持ちします」とやたら持ち上げる。失礼のないように、とか。でも何が失礼かどうかはお客さんが決めることで、皆が皆同じ接客してたら、当たり障りのないつまらない接客になっちゃうと思うし、僕もそういうふうに育てられて来たから最初は受け入れにくかったけど…。



──なんか一連の流れが決まってますよね。

そう。どこの店行っても全部同じじゃん。うちだからできる、お店に来たから体感できる変なこととか、面白いこととかを考えた時に、ビールを置いて、ファッション誌を置かないというルールでやろうと思った。僕は美容師として後ろ側に立ってるけど、バーテンダー的な働きなんじゃないかと思って。隣に座ってる知らないお客さまどうしの会話を繋げてもいいと思ってる。



──決まった流れに慣れてる人が多いなか、お客さまの反応ってどうですか?戸惑いなのか、楽しんじゃってるのか。
 
人によりますけど、0か100の評価しかないと思っていて。「まぁいいんじゃない?」みたいな当たり障りのない評価ってないと思っています。僕の中で、50点は0点以下だと思っていて、0なら0でいいんですよ。そこから改善点も見つけやすいし。でもうちのことが好きな人は100だと思うし。帰り際でだいたいわかりますよね、「楽しかったです」って言って帰っていく人とか、「ごちそうさま」って帰っていく人とか。だいたい美容院で楽しかったとか、ごちそうさまって言って帰ることってあんまりないし。終わっても帰らない人もいるんで。



──終わった後は皆さんソファーとかでお話をされたりして?

ビール飲みながら次のお客さんと会話してたりとか。人と人を繋げる感じでやってるんで。何も特化してないサービスは、一連の流れで終わったら帰るのが当たり前だから。うちは帰らなくていいんですよ。「本当に?じゃあ、ビールおかわり!」って言う人もいる。








ビール、本、美容室が軸にある


──0か100の人で、100になった人って離れないですよね、きっと。軸がブレていないので、あとは付いてくる人を待つだけかなって感じはしますけどね。

だと思うんですけどね。まだまだですよね。
もっともっと真面目にふざけたことをいっぱいやろうと思っていて。僕の中でビール、本、美容室っていうのが軸で、そこはブレずにもっとおかしなことをやっていこうと思ってカウンターを作ったりとか。



──DIYなんですよね?

はい。自作です。



──昔から好きだったんですか?

僕の中でバイクが一番大きくて。お金がないから自分で改造してたんですよ。自分でフレームをぶった切ったり、色塗ったり。そこからですね。木なんかは金属に比べれば切るのも簡単ですからね。金属切ろうと思ったら結構大変ですし。




▲カウンター、ローテーブル、グラス瓶のライトはどれも自作。昔からやっていたのかと尋ねると、「僕の中でバイクが一番大きくて。お金ないから自分で改造してたんですよ。ぶった切ったり、色塗ったり。そこからですね。」とのこと。器用ですね~!



──ところで、イベントはオファーが来るんですか?それとも紹介だったり?

僕の中で浮かんでくるアイディアって限界があるので、こんなのやったら面白いんじゃない?とかがあったらやる。うちの店を使ってこんなことをやりたいっていうのとか。僕はイベントをするときって、その趣旨が「知ること」なんですよ、「学ぶ」ではなく。「学ぶ」になると、教える側はお金が発生するわけです。まずは知ってもらって、そこからその中で学びたいと思う事があればお金を払って学べばいい。知らないと知ることもできないですから。まずはあくまでも、知るための交流の場にしたい。

僕は月に2、3回南口のEthical(エシカル)っていうバーで、ウェイターのバイトをしてるんですけど、時給0円なんですよ。僕の方から無料でやらせてくれって頼んで。向こうからしたら「は?」って話なんですけど。理由は1000枚のチラシを刷って1000枚のポスティングする時間とお金を考えたら100枚だけ刷って駅前で「よろしくお願いしまーす」っていう方が、まだ確立は高いと思ってる。それでもたぶん、まだ深層の部分には入っていってかない。10枚のチラシ持ってバイトしながら自分をアピールしていったら、もしかしたら人の深いところに入っていけるかもしれない。僕はどんな仕事でも、仕事って結局人から人だと思っていて。



──エシカルさんとのお付き合いは下北に来てから?

そうです。それもすごいたまたまで、僕と考え方が似ていて。ポスティングじゃなくて、直接お店に来てくれたんですよ。下北沢に来て思ったのが、横の繋がりがすごい大事なのかなって。



──そうですね、わかります。他にどういったお店の方と?

うちでコーヒーを置かせてもらっているんですけど、2軒隣に「urban local living」っていうコーヒー屋さんがあって、そこも去年の3月にお店を出したばかりで。ちょうど同じ時期にお店出してたんで、いろいろ教えてくれて。



──色々と今が通過点なのかもしれないですね。色々な人たちに触れて、次がありそうな感じがしますけどね。

あんまり深くまでは考えてないです。美容師だけで人生終わらせちゃうのももったいない気がするんでね。他にもやりたいこといっぱいあるし。








髪を切る時以外にも来てもらいたい


──今の場所をベースにして、構想はいろいろあったりします?

ここを自分の家として、ここがあるから好きなことができるっていう状況を作りたい。この店をやって、それがうまくできたから次はこれをやりますっていうのが理想だと思うから。



──基地みたいなものですよね。

下北ベースですね(笑)



──ははは!なるほど。「人との繋がり」というキーワードが十分伝わってきているんですけど、あえてここだけは伝えたい!ということは?

えっ、なんだろう…美容室って髪切る時くらいしか行くことないじゃないですか。それを変えたくて、髪切らなくてもいいから遊びに来てっていうスタイルでやってる。友達と一緒に来てもらっても、何時間いてもらってもいいんですよ、僕は。お客さんが髪切ってる最中でも、ここらへんでワイワイ酒飲んでて。







──ちなみにノンアルコールはあるんですか?

今お酒の販売許可を取ろうとしていて。それを取ったら、ビール以外にも置いたりとか。普通のジュースとか、お茶とかじゃなくて、海外の得体の知れないジュースとか…そういうのを置きたい。美容室でインスタントコーヒーを出して、「はい、300円です」って言ったら、「え?お金取るの?」って言われちゃう。インスタントコーヒーでいいのであればサービスでいいけど、僕がやりたいのはそこじゃないんで。販売許可を取ったあとに、出すビールが普通のビールっていうのは、つまらないじゃないですか。どこにでも当たり前にあるものじゃなく、お客さんの方から、「何これ飲んでみたい!」って言われるものであれば、そこにお金を出す価値があるって判断すると思うんですよね。




──それって当たり前なことですよね。本来の皆さんの当たり前を、ちょっと角度を変えて、見方と流れを変えていくのかなっていう感じがします。

通りかかったけど忙しそうだったから寄らなかったとか言う人もいるけど、店なんだから寄ってよ、みたいな。別にいいんだよ。でも、そういう人がまだまだいっぱいいるんで。



──固定概念と壁をとっぽらって来てほしいし、もう自分の生活に取りこんじゃって!ってことですよね?

そう。そういう使い方を、もっともっとしてくれたら嬉しいですね。





▲「自分で言うのも何ですけど、うちの店は居心地良すぎて、仕事終わった後帰らないで、夜中にカウンターでビール飲んでる。」と伊藤さん。日が入ってくるし、風が気持ちいいし、ふかふかの椅子だし、確かに居心地が良い環境!



インタビュアーから一言


今までとは違った視点、流れをかえて、そしてそれを作っていこうとしているんだなぁと感じました。そこには必死感や使命感というせまったものはなく、あくまでもご自分も楽しみながらというスタンスで。その楽しさがまわりにも伝染していっているので、これからとても楽しみです!今何をやっているのかな?とのぞきに立ち寄ってみてくださいね!それぞれの「お店の使いかた」が生みだされると面白い空間になるのではないでしょうか。

インタビュー・構成:ミズカ、写真・編集:もんとみ



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  • T:Luck(ティーラック)


  • 住所東京都世田谷区北沢2-30-10 102号
  • 最寄り駅京王電鉄・小田急電鉄「下北沢」駅 北口から徒歩2分
  • TEL03-5738-8459
  • 営業時間10:00〜20:00
  • 定休日不定休
  • URLhttp://tluck.jp/







ライター

ローカルデータ編集部

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