2017.06.04

【インタビュー】インドの学校の実情とは。Cafe&Bar Ethical(エシカル)岡本舞子さんインタビュー 後編

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インタビュー後編では岡本さん自身をクローズアップ。インドでの活動を通して感じた正直な想いなどについてお話をうかがいました!(ラストにオマケ動画があります。)





高橋歩さんとの出会い


──そもそも高橋さんとの出会いは、インドでたまたまですか?

そうなんです。もともと私は児童福祉の学校に通っていて、子供の仕事をしたいなと思っていたんですけど。20歳すぎくらいに海外に興味を持つようになって、海外で子供の仕事をしたいなというふうに変わってきて。今思えば、高橋の本を一冊だけ読んだことがあって。こんなすごい人もいるんだな、だけど私には関係ないなって思っていたんですよ。



──子供の仕事というと教育とか?

いえ、難民とか貧困とか、貧富の格差を変えていきたいと。日本とは全然違う環境で暮らしている子供たちに衝撃を受けて。なんとか救わなきゃと思ったんですよね。それで、海外をボランティアで世界中を回る旅に出て。



──それは世界中?

40、50ヵ国周ったと思うんですけど、殺されかけたり、危険な目にあったり、打ちひしがれたりとか。もう私には無理だなと思ったときにちょうど、高橋歩がインドの小学校を作るんだよっていう噂をタイで知って。「高橋歩」って誰だっけ、本の人だってそのときに気づいて。面白そうだから、学校作るくらいだったらできるかもしれないから行ってみようって思ったのがきっかけで。もともとは噂を聞いて出会ったんですよ、ちょうどそれが海外に出て4年くらい経った頃に。


学校を作っても、機能していうないという実情


──じゃあ、ずっと海外には行きっぱなしですか?

はい。インドに飛んで、高橋と他にも日本人のボランティアの人達と一緒に学校を作ったんです。それが、マザーベイビースクールっていうインドのラームナガルという貧困層が多い地域の小学校で、無料で通えるフリースクールを当時作ったんです。
学校を作るのってぶっちゃけ簡単なんですよ。お金とちょっとの人手と、ある程度の一式があればできるんです。でもタイとかカンボジアで日本人がこういう学校を作っても、作りっぱなしでどんどん廃校になって。



──その廃校になってる原因って?なんでそうなっちゃうんですか?

日本人は学校さえあれば、うまく回ると思ってるんです。でも実際の問題は、教育の大切さを、どういうふうに地域の人達に伝えていくか。私達は当たり前に教育を受けてて、当たり前に職業の選択ができるんですけど、でも実際世界中ではそうではない人達がほとんどで。それを幸せすぎる私たちは知らないんですよ。
だから、(学校を)作れば誰かしらがうまく運営してくれるだろうっていうので作るんです。でも、実際は教育の仕方もわからない、お金もないから回らない。子供達も「勉強って何?」、お母さん方も「勉強するくらいなら働いてよ」っていう世界の現状が見えたんです。なので、実際に箱だけ作って、全然実は機能してないっていう学校が、カンボジアとかタイにすごく多いんですね。



──必要だろうと思って用意したけど、向こうの人との温度差があってことですか?「そうなの、必要なの!」っていう人達が迎え入れてくれてるわけではないという。

そうです。こっちのエゴで勝手に作っているだけで。実際は箱よりも中身の方が大事なのに、そこに目を向けるには、やっぱり難易度が高すぎるというか。入り込んで、住み込んで、何年もかけて、地域の人との関係性を作っていかなければいけない。作るのは誰だってできるんですよ。そこから何年もかけて、本当の教育の大事さを伝えるのは、やっぱりすごく体力が必要。



──気力もですよね。

すごい必要です。実際やってみて思ってるんですけど、私達はそうはしたくないと高橋と話して。ちゃんとNPOとして運営して、日本人をそこに駐在させて、とにかくうまく回るまでなんとか運営させようっていうので抜擢されたのが私で、現地に3年くらい住んで。




──抜擢された理由を聞いてもいいですか?聞いたことあります?「なんで私なんですか?」って。

はい。私はずっと海外で働きたかったんだけど、アフリカとかで本当に打ちのめされてしまって、無理だと思ったんですよ。でも、インドで高橋や皆と一緒に学校を作りに行って、やっぱり私ここで働きたい、ずっと関わって行きたいし、できることだったらもっともっとやりたいという気持ちが大きくなってきてしまっていて。なんとか認めさせてやろうと思っちゃって(笑)じゃあ人より何ができるかって考えて、一番先に言葉を覚えたんですよね。



──現地でのコミュニケーションですよね。

はい。そこの村では英語も通じなかったので、ヒンドゥー語という現地の言葉を覚えて、それで目立ちました(笑)



──ははは!(笑)

戦略的に(笑)



──ああ、なるほど。引き上げてもらうように、自ら動いたという。

そうです。私がやろうと思って。



──行動的ですよね。したいって思ったら、そこに向かう。

当時は、その情熱だけは誰にも負けないと思ってました。周ってきて、多少は経験もあるし、コミュニケーションを取るのが私は好きなので、絶対他の人よりも秀でるものを見せて、私がこの学校を守るように、抜擢されるように頑張ろうと思ったのがちょっと目立ったのか、認めてもらって。インドに住むようになったんですけど、そこからが地獄の連続でした(笑)


インドに住んで、感じたこと


──え(笑)、地獄ですか。

やっぱり文化も習慣も食べ物も違うなかで、私は何も知らないなか、若さだけを取り柄にやってきたってなったら、インド人も働かないし、嘘ついてくるし、いろんな人に騙されたりとか。嫌な経験をたくさんしましたし、日本人同士でも揉め事とかいざこざとかがたくさんあったし、その中で精神的にまいる状態にもなりました。



──下手したら人間不信とか?

はい。一時帰国をするとインドに帰るのがすごい嫌だった時もあったし、本当に手ごわいんですよねインドは。



──そこを奮い立たせてまた戻るのは、魅力があって?それとも使命感ですか?

責任でしかなかったです。とにかく私の後任を作らないと私もそこから抜けられないし、3年いる中で体も心もクタクタになって。このままじゃ駄目だなと思って、日本の駐在に変わらせてくれたんですよ。




──ギリッギリだったんですか?3年目の最後のほうは。

もうギリギリでした。0から1を作るのって、そこがめちゃくちゃ大変で。しかも私は女で一人なので、インドってまだ男尊女卑がすごくあって。カーストっていう身分制度もあって、そんな中で私の指示を受けていろいろ動くとか・・・



──それは外国人でも?

外国人なんてもってのほかなんですよ。しかも女だし外国人だし、カーストからしたらもう人間だと思われてない。



──インドの中だけじゃなくて、彼らはもう全人類を対象にしている?

そうです。ヒンドゥー教以外はカーストの中に入っていないので。外国人はもう別のものなので。



──それはやりづらいですよね。

もうお金としか思われてないから、いざこざがすごくいっぱいあってクタクタで。でも目の前には子供たちが毎日来るし、ボロボロの服を着て、こんなちっちゃい鉛筆を持って一生懸命勉強してるのを見ると、その子達を置いてまた私も帰ってしまったら結局箱だけが残る。前のスパイラルと同じなんですよね。なので、なんとか日本人スタッフに引き継いで、回してという感じで戻ってきて。



──インドに特化しているんですか?たまたま高橋さんがインドに学校を建てるというタイミングで、拠点がインドになったのかもしれないんですけど。他の国ってどう思っているのかなって。個人的に気になっている国ってありますか?

たまたまです。どの国も子供はやっぱり可愛かったんですけど、基本的に私はタイが好きなので、タイの子供たちもすごい可愛いなと思うし。インドはカーストという問題があって、タイはエイズとか貧困というのもあったりするし。アフリカとかもすごく貧困のレベルが違ったりするので。全部興味はあるんですけど無責任にはできないので、ちゃんとそういう機会やチャンスをうまく拾って、広げて行きたいなとは思ってます。って考えたらやっぱり今はインドの事業を拡大していきたいなって思ってるのが最優先ですね。






岡本さんの根源にあるもの


──岡本さんがモットーにしていることってあります?

今私が現場を離れて、じゃあ日本で何ができるのかっていうところを見たら、やっぱり現地のことを伝えることをモットーとしています。やっぱりどうしても日本って平和ボケしているというか。こんなに幸せな環境なのに、気づいていない人もすごく多いし。物理的に豊かなのにそういうのを幸せに思っていない人が多々見受けられるので。
何が幸せなのか、海外のことも情報として引っ張っていきながら、一緒に考えて知ってもらっていきたいなと思っていて、啓蒙的な活動を強く意識してここのお店に立ちたいなと思っています。



──岡本さんにとっての一番の幸せってなんだと思います?

私はもう生きてるだけで幸せなんです。10代の頃はかなり荒れていたので。悪いことをたくさんしたりとか、死にたいとか思ってたんですけど、海外の生活を見るようになって、いかに自分が生まれた場所が幸せだったっていう。
そして日本を良くしていきたいと思っていて、次世代を担うのは私達若い人だと思う。もっと自信を持って、誇りを持って、日本をもっとよくできるように。



──すごく難しいことですよね。

とにかくモチベーションを保って。



──でも今までも絶対起き上がってきたんだろうなっていう感じがしますけど。

いや、起き上がってないんですよ。
1年に1、2回はもうダメだなって思うんですよ、正直(笑)



──その時の持ち直し方、起き上がり方のコツって何かありますか?

いや、教えて欲しいけど。私は下がったら、とりあえず時間が解決してくれるというか。落ちるだけ落ちたら、あとは何かしら自分の気持ちが上がるしかないから。結局落ち込んだとしても死ぬことはないんですよね。だからそういうのを考えたら幸せだなって思います、やっぱり。私の悩みなんてちっぽけだなって思ったら、バカバカしくなってくるので、そのタイミングを待ちます。



──タイミングまで放っておくってことですよね。

そうです。そういうふうに自動的に思考が変わっていくっていう時期を待って、そのときのアドレナリンを楽しんだり。私はすごいネガティブで根暗なので、普通の経営者の方とか、自己啓発の本とかを書かれている方、それこそ高橋歩とかとは、全く逆の人格だなっていつも思うんですよね、彼らと会うと。でもこの人格にしかわからない這い上がり方とか、女性なりのやり方とか、そういうものをもっと突き詰めていきたいなと思います。
そんななか、決めたことをスムーズにやるっていうのが高橋のすごいところ。



──え!でも結局、(岡本さんも)そういう風に進んできてません?やりたい、したいっていう思いから、そういう人生を送ってきてるんだなっていうのをすごく話してて思ったんですけど。

そう・・・です・・・ね(笑)



──あはは!

そうなりますね(笑)



──うん。ただ、自分で自分をあまり認めてないところがあるのかなって。でもはたから見るとそれができている。

でも私もすごい弱いので、続けていくっていうのは、もうインドの学校にしても、ここにしても、すごく大変で。本当に今身に染みて感じていて。
でもインドの学校は潰したくないし、ここもそのためにあるべき所だと思うし。っていうのを続けていきたいなと思っています。



──なんかそういう弱さとか…あった方が面白いんじゃないかな、と私は思うんですけど。人間として。

本当ですか?



──ちょっと毒を言わせていただければ。あの、活動されている内容の記事を先に読ませていただいたんですけど。あれって…すみません、オブラートに包まずに言うと、見慣れている感があって。それよりも、この人たち世界中まわっていて、それこそなんでインドだったのかとか。目覚めたきっかけってなんだったのかなとか、その「人」を知りたくて。

自分のことばかり話して本当に申し訳ないんですけど。



──でもそこで、まさかネガティブだとは思ってなかった(笑)

いや、本当に最低な人間なんです(笑)



──あはは!(笑)そこも載せていいんだったら掘り下げたい(笑)、悪かった時代とか。

でも私も包み隠してもしょうがないと思うし、ちょいちょい私も毒を吐くというところも認めてもらいつつ、こういう人でもできるんだよっていうのを。



──わかります。私もやんちゃだった頃があるので。

そのやんちゃだった頃があった分、そういう選択ができたのかなと思います。



──今度お互い暴露し合いましょう(笑)

ぜひぜひ(笑)





インタビューを終えて


気軽な社会貢献。そのきっかけを作ってくれている岡本さん含むEthical さん。今まで国内外問わずにたくさんの経験を積んできたんだろうな、と。時にこちらの想像を絶することもあったと思いますが、自分なりのスピードでゆっくりとでも常に前に進んでいる印象を受け、そんななかで自分は弱いと認める強さを持った人だとも。
虚勢をはらない人柄から、かたい印象でハードルが高く思いがちな「社会貢献」を身近に感じられたな、と思いました。ぜひ、Ethical さんで体感してほしいです。


インタビュー・構成:ミズカ、写真:もんとみ


おまけ動画


岡本さんのミニインタビュー。「高橋さんの言葉で、それまでの自分が変わっちゃうような衝撃的だったものはありますか?」という質問に答えていただきました!






【店長インタビューvol.4 前編】下北沢の社会貢献型Cafe&Bar Ethical(エシカル)岡本舞子さんインタビュー
ボランティアで世界を40ヵ国以上周ったという岡本さんは、日本でも何か活動をしたいと考え、Ethicalを仲間達と共にオープンさせました。前編ではお店での活動内容を中心にお話していただきました。






  • Cafe&Bar Ethical (カフェアンドバー エシカル)


  • 住所東京都世田谷区北沢2-11-2 3F
  • 最寄り駅京王電鉄・小田急電鉄「下北沢」駅 南口から徒歩1分
  • TEL03-3795-3991
  • 営業時間【月、水】 18:00~25:00 (L.O.24:00、ドリンクL.O.24:30)
    【火、木】 11:30~25:00 (L.O.24:00、ドリンクL.O.24:30)
    【金・祝前日】 18:00~29:00 (L.O.28:00、ドリンクL.O.28:30)
    【土】 11:30~29:00 (L.O.28:00、ドリンクL.O.28:30)
    【日・祝日】 11:30~25:00 (L.O.24:00、ドリンクL.O.24:30)

  • 定休日なし(年末年始除く)
  • URLhttp://www.cafebarethical.com/




ライター

ローカルデータ編集部

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