2017.06.07

【ひとり暮らしコラム】ひとりぐらす01 「ひとり、暮らしはじめる」

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はじめまして、ひとり暮らし歴もうすぐ5年目のイラストレーター、マリマリマーチです。
このコラムではひとり暮らしの悲喜こもごもを、役に立つこと立たないこと交えてお送りいたします。
そのへんにあったお菓子をちょいとつまんじゃった感覚でたのしんでいただければ幸いです。






ひとり暮らしをはじめるのは、進学や就職などの節目であることが多いかと思いますが、きっかけは人それぞれ。
中には別離であったり、なんらかの理由でやむなく、ということもあると思いますので、明るい未来に向かってレッツゴーな状況ばかりでもないでしょう。
ただきっかけはなんであれ、住む場所が変わり再び生活をはじめることは、新しい空気を否が応にも取り込むことになるので、なかなかの刺激や変容が体と心にもたらされるのではないかと思います。

学生という大義名分のもとにモラトリアムを引き延ばした私は、周囲の友人たちよりも社会に出るのが随分おそくなりました。
同じだけ年齢を重ねて、隣に並んで走っているつもりでいたけれど、実は自分だけ周回おくれのような、じわじわと迫り来る焦燥感の中、私が選択したのは「ひとり暮らしをすること」でした。
ひとり暮らしをすれば一丁前というわけでもないのですが、「まず己の力で暮らせるようにならねばならぬ」と頑なに思っていたのです。
今考えてみれば、そんなに焦ることもなかったろうと思うし、暮らすのに精一杯で後回しにしてしまったいろいろ、重ねた不義理を思えば、なにやってんだろと空を仰ぐ日も多々あり。
とはいえ、生来やってみないと気が済まない性分、えいやっと実家を出たのであります。

それから、もうすこしだけ細かくお話しすると、「ひとり暮らしをせねばならぬ」の思いにとらわれていた頃、実家で18年飼っていた愛犬が亡くなりました。
その子が生きているうちは実家にいようと思っていたのですが、5月のある朝、その時が来て。
喪失感や後悔を紛らわせるように、また受け入れるように、無我夢中で庭を掘ってレンガを積んでお墓を作りました。
それから数日が過ぎた日、天気がよくて、窓から風が入ってきて、自室のドアのところにしゃがんでぼんやりしていたら、つーと涙が流れて、「ああ、この家を出て行かなきゃ」と思いました。
「すごく悲しい」は、いつもちょっとおくれてくるんですよね。





旅立ちにお別れはつきものですから、大枠で言えばみんななにかしらのお別れをしてきているんだよなぁと思います。
どうしたって全部は持っていけないから、捨てたり置いてきたりして、ちょっと身軽になった気もしたりして。
そしてベタですが、別れの後には新しい出会いもあるもので。
私は中野区の野方というところに住んでいるのですが、住むことになるまで行ったことはおろか地名すら知らない土地でした。
暮らしはじめてすきになった場所です。
生涯訪れることのできる土地は限られていて、その上で住むことのできる場所って、あって数ヶ所だと思うので、ひとり暮らしをしなければ野方を知らずに死んだかもしれないと思うと、まぁ知らなかったからと言って別に困りもしないが、よかったんじゃないかなと思います。

ひとり暮らしひとり暮らしとやいやい申しておりますが、とりたててひとり暮らしを推奨しているわけでもありません。
しなくてはならない場合を除いては、余裕があるとか、できる環境があるならしてみるといいかなと思いますが、私のように勢いだけではじめると絶妙にスリルを味わうことになるので、あんまり胸を張っておすすめはできません。
なにより家族で暮らせる時間も尊いものだと思うので、ひとりになるのはきっかけが訪れた時でいいんじゃないかと思っています。





なんだかんだで「暮らすこと」は、おもしろきことです。ひとりでも、ひとりでなくても、たぶん。
しんどいこともたくさんあるけど、どんなときだって暮らすことは続けていかねばならぬのだから、身の丈に合った心地よさを見つけていきたいものです。

そんなわけで序章が長くなりましたが、次回は物件探しについてのお話です。




ライター

MARI MARI MARCH(マリマリマーチ)

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