2017.08.30

【インタビュー】雑な暮らしだっていいじゃない!新しい日常着を提案するALL YOURS、ライフスペック伝道師 木村昌史さんインタビュー

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「日常生活(LIFE)で服に求められる機能(SPEC)を追求した日常着(WEAR)」をコンセプトにしたプロダクトを開発しているALL YOURS(オールユアーズ)は、池尻大橋に実店舗を構えています。一番肌に近い洋服のストレスを解消する機能があって、さらにそのまま野外のアクティビティにも出かけられるような新しいデイリーウェアを多数リリースされています。

今回はお二人いる代表のうちのお一人であり、ライフスペック伝道師として活動されている木村昌史さんをインタビューさせていただきました!


▲レインボー倉庫(池尻大橋)の突き当たりを右に曲がった一番奥の部屋に「ALL YOURS STORE」はあります。


▲木村昌史さん。

──まず、ALL YOURSさんのものづくりの視点が面白いなと思っていました。

ありがとうございます。僕、乱暴なことをインタビューで言いまくっていて、怖い人なんじゃないかって。


──むしろいいんですけど(笑)

そうですか、葉巻ないかなぁ(笑)


──あはは!そこまで作り込みます?(笑)ローカルデータは人と地域に深堀するっていうテーマなので、色が強いほどうれしいです。では、木村さんの経緯をざっくりと。前もアパレル?

そうですね。僕は高校の時から販売をやってまして。そのまま社員になって、店長、バイヤー、企画をやって。アパレルって、水商売って言われるんです、要は「今年これが流行ります」とか。流行りの色って何年前から決まってるか知ってます?


インターネットの普及で多様化する選択肢


──何年だっけ、会議で決まってるんですよね。

そう、おかしいでしょ。ちょっと疑問というか、割り切れない。なんでそのゲームの中でやってるんだろうっていうのがすごいあって。まず流行りのサイクルが早い。色とかも、ある程度利権みたいなところで、話が進んでいるわけなんですよ。気持ち悪いなって思って。

洋服って簡単に言うと、クジャクの羽みたいな。モテるとか、かわいいとか、カッコイイとか、結局それなんですよ。人に好感を持たれるために、どういう格好をするかっていうことで、その中で流行りを作っていくっていうのがしんどくなってきている。

物自体が全部そうなんですけど、インターネットが普及していくにつれて、洋服が売れなくなってきてるんですよ。昔はメディアが強かったから、雑誌とかテレビとか、一極集中してましたよね。今、いつくですか?


──…いきなり(苦笑)

いやなの?言いたくないの?(笑)僕35歳なんですよ。


──あら!もう少し…(上かと思った)笑

僕らぐらいまでなんですよ、同じものを皆が欲しかった時代。お店に行列して並んで、やっと買えたみたいな。欲しいものを選ぶ媒体が雑誌しかなかったから。でもインターネットで多様化してきたら、雑誌がキャッチアップできなくなっちゃいましたよね。紙媒体ってスピード感遅いし。誰の情報を信じる?っていうところから始めないと、何もできなくなってきちゃってますよね。


──そうですね、わかります。

だから、それに連れて洋服って同じものが全く売れなくなってきてるんですよね。雨の日に水に濡れたら困りますよねって言ったら、多分みんな困るはずなんですよ。そういう売り方をしたいなって。カッコイイ、かわいいの水商売じゃなくて、もうちょっと生理的な。洋服って意外とね、人が困ることに応えてくれないんですよ。



やりたいことをストレートにやる為に立ち上げたALL YOURS


──それって立ち上げの理念?構想はどのくらいですか?

これってね、前の会社からアイディアがあって。一部やってたんですけど、それで当たるなっていう感じがすごいしてたんですけど、昔は一部上場企業にいたんですよ。製品関連のプロセスがすごい長くて。自分のやりたいことをもう少しストレートにやりたいなと思って始めたのが、この会社。


──一番最初に取り掛かったことはなんだったんですか?

ONE SWINGっていう水をはじくパーカーと、HIGH KICKっていうめちゃんこ伸びるジーパン。



▲水を弾くONE SWING PARKA。


▲ポッケに缶がスッと入る、伸縮性バツグンのHIGH KICK。


──実は私、匂いがつかないっていうTシャツ買わせていただいたんです。

わ、ありがとうございます!CATCHERだ、それも一番のプロダクト。一番最初のモノほどそういう要素がすごい強い。雨に濡れたり、しんどいジーパン、動きづらいパンツいやですよねとか。あとは匂いって気になりますよねとかっていう売り方ができるモノ。


──機能性に寄っちゃうと、デザインがついてこない。デザインに寄っちゃうと機能性がついてこないっていうところの、うまいバランス感をとっているなと思いました。

うちはね、機能を外装で解決してないんですよ。


──外装というのは?

外見のデザイン。防水性を追求しようと思ったら、アウトドアの素材を使えば早いんです。はっきり言ってそっち方が優れてるので。でもそうすると、アウトドアっぽいデザインだったりとかするじゃないですか。どうしてもアウターっぽい感じになっちゃう。


──そこにタウンユースの要素を?

そう。僕らの商品にはハイスペックなのが1個もないんですよ。数字で語られたら「いや、じゃあ他のものを買ってください」っていう商品なんですよね。水をはじくパーカーは雨の日に着なくてもよくて、毎日着て、にわか雨が降った時にフードをかぶればいい。デイリーウェアなんです。そういうものとあまり変わらなくて。





──あ、それはすごく感じました。

デザインって本質的に構造っていう意味だったり、問題解決っていう意味なんです。正直この洋服、全然かっこよくデザインはしてないんですけど、人の生活を考えた時に、そういう商品って必要だよねって。洋服の構造をいじろうっていう。綿のパーカーだけど、水をはじくようになったら行動範囲が広がりますよ、と。


──生活に寄り添っている。

僕らはそれをコンセプトとして「ライフスペック」って呼んでるんですけど。生活にちょうどいい機能。


──広告をうつ人も一番特徴のある、わかりやすいところをダイレクトに打ち出すじゃないですか。でも、そこの隙間をズバリでついてやっているのかなって思って。ありそうでないっていう。

一番わかりにくいんですよ、うちの商品って。めちゃくちゃ機能性が高いわけじゃないから、広告がうてない。ファッション性も高くないから、ファッション雑誌でスタイリングしてもらうっていうのも、これを平置きで写真撮っていても、何のことだかよくわからない商品なんですよ。
だから誰もやらないんじゃないかな。それを僕らは、結局体験とか共感みたいなもので売るっていうふうにして。時間かかるし、わかりにくいんですけど、それが一番いいなって。多分うちのコアなファンって、洋服を買ってる感じがしてないと思うんですよ。


──生活用品。

そうそう。生活用品だったり、必需品みたいなのを買っているような感覚だと思うんです。基本的にファンビジネスだと思ってるので、僕らの考え方に共感してもらえる人をどれくらい増やすかっていうのが希望。それだったら、直接的に洋服のプロモーションじゃなくて、うちのお客さんを作ろうとか、お店を知ってもらえるようなことをしようっていうことに重きを置いてやってるかな。


スタッフの河部さんに「着たくないのに、毎日着てしまう。クセになるジャケット」について聞いてみた




▲メッセンジャーの佐々木陽さん(左)と、アシスタントの河部佑美さん(右)。ポーツウェアの性能を持っているのにウール100%に見えます。


▲袋に収納すると、こんなにコンパクトになります!


──なんかジャケットって着る前に気負いが必要だけど、ないですね、これ。普通のブルゾンを着てる感じ。

本当にそうだと思います。全然シワにならないし。元がスポーツウェアみたいな機能を持った素材なので、伸びるし軽いし。この袋の中に全部収まっちゃうんですよ、公に言ってるわけじゃないんですけど(笑)それを木村は枕にして(笑)


──ははは!枕にしちゃっても、シワは大丈夫なんですか?

そもそもシワになりにくい繊維で。ポリエステルって年配の方だと、すごい安っぽい素材に見られがちなんですけど、へこたれない繊維なんです。蒸れるイメージを持たれる方がすごい多いんですけど、これは速乾性があってサラッとしてる素材なので、その辺をクリアしてる。
天然繊維ってなかなか進化しにくいんですよね、もともと自然界にあるものなので。それの良さはあるんですけど、ポリエステルとかは、ずっと開発され続けてるんで。


──進化し続けてるってことか。

数値でスペックがこれくらい上がりましたっていう話になっちゃうと一気に生活感がなくなっちゃう。
スポーツウェアとかだと、耐久性、軽さ、空気抵抗とか、すごい説得力あるかもしれないんですけど、私たちの生活でそれを言われても…っていう感じじゃないですか。若干ストレスというか、別に今そこまで困ってないしって。
けど、実際普通に着てるパーカーが水をはじいたらいいでしょ?って言われたら、「あ、確かに」ってなる。
そういうところなんです。




人が行動するきっかけを作りたい


──木村さんは、お洋服以外で興味あるものあるんですか?

僕ね、洋服あんまり興味ないですよ。洋服は好きだったけど、だんだんそれを着てる時の人の生活に興味が出てくるようになったから。うちはね、洋服を売ってるけど人の商売だから。


──結局人なんですよね。

世の中が無人化していっても、人じゃなきゃできないこともあって。そこをちゃんとキャッチアップしないとなって思って。まずはお店に来るっていう、買わなくていいモチベーションのイベントをやりたくて。それでランニングサークルをやったり、ワークショップをやったりとか。そしたら、この人たち意外といい人だなってなるでしょ。ははは!(笑)



▲teihenランニングサークルの皆さん。


──そうですよね、最終的に人につけたいっていう。

そう。ランニングサークルなんて、その日に来た人の売り上げがなんぼとかっていう話じゃなくて。いつの間にか月に2回くらいやってるんですけど。走りませんっていうランニングサークルなの。


──え!もはやそれ、ランニングじゃないですよね?

「走りたくない人がやってみるサークル」なんですよ。走ってみたい、そろそろ健康が気になるな、みたいな。一人で走るってまずスッゲー大変なんですよ、まず靴を履いて外に出るのが超大変。誰かと一緒なら走れるかなって思った時に、友達で同じ気持ちの人を探すのが大変。
ランニングサークル行きたいけどプロっぽいところしかないから、行ったら怒られるんじゃないか、ついていけないんじゃないか、みたいなところがあるじゃない。


──なんかまず揃えなきゃ!みたいな。

超ハードル高いんですよ、世の中って。みんな意識高いから。だから走れないんだったら歩きます、みたいな。むしろ走ったら怪我するから気をつけてくださいって言いながら走るサークルなんですよ(笑)
人が何かを始める時のエネルギーって素晴らしいなって思ってて、うちの商品ってモチベーションをあげる服だと思ってる。
人が行動するきっかけが作りたいんですよね、生活の問題点を解決するきっかけを与えると言うか。そういうことをやりたいなぁって。


同じ価値観の人が、新しいものを発見できるイベント




▲2017年7月、IID 世田谷ものづくり学校で行われた「LIFE SPEC CO-OP(ライフスペックコープ)」の様子。


▲ALL YOURSのもう一人の代表であり、ディレクターの原康人さんと。

──今後何か考えてること、イベントとか控えてることってあるんですか?

こないだのイベントは、うちのお店を拡張した後のコンセプト。「LIFE SPEC CO-OP(ライフスペックコープ)」って生協みたいなテーマでやってるんですけど。物が足りなくて貧しかった時期に一括購入するから、皆が安く買えますよっていうシステムはむちゃくちゃ機能してましたけど、今って安ければ買うっていう時代じゃないし。
でも、それよりも同じ価値観の人が、新しいものを発見できる場所がいいなぁっと思って、そういう意味で生協。


──私も最近テーマがそこなんですよね。異業種でも何やってても、価値観が一緒の人っていうか。今の主流とは違うところで核になっていくんじゃないかなっていう感じがあります。

それはね、すごい思います。今のカテゴリ分けされてる産業、僕らだったらアパレル。でも、僕らの今の話って、アパレルの人に話しても、全然響かないんですよ。始めた時、卸に売り込みにいくじゃないですか、一番最初に言われたのが「これ、雑誌に載ってるんですか?」。


──やっぱり根深いですね。

そう、根深いんですよ。僕らの洋服は流通が違うと思ってて、お店の部分は完全に体験型で売ってる。もう一つがクラウドファンディングをやってるんですよ。共感してくれる人が先にお金を払ってくれる。そこに対して、商品をお返しするみたいなことをやってるんですけど、キャッシュオンでテキストを買ってくれる人がすごいたくさんいる。物の流れ方が違うというか、やっぱり消費の時代が変わって来てるなって。
勘違いしてるのが、「かっこよければ人がついてくる」と思ってる。だけど僕はカッコイイことがダサいので。ダサいほどカッコイイ。めちゃくちゃなこと言ってますけど(笑)
目線があってるブランドの方が絶対カッコイイ。共感してもらえる人が多いはずだから。

いつも思うんだけど、「丁寧な暮らし」ってあるじゃないですか。あれね、超しんどそうだなって。雑誌とかで、販売員スタッフの部屋とか見てると、「うわ〜、超頑張ってるな〜。辛そう〜。」みたいな(笑)雑な暮らしって言ってるんですけど、僕は(笑)
丁寧じゃないほうが人間性が高い。だからあんまりかっこつけないで、自分の生活というよりもやってることで自慢し合おうみたいな。



▲24か月連続、隔月でCAMPFIREにてクラウドファンディングプロジェクトを実施中。第一弾は「洗濯を繰り返しても色褪せしない。購入時の色がずっと続く黒パンツ」、第二弾は先ほどの「着たくないのに、毎日着てしまう。クセになるジャケットとパンツ」。


丁寧な暮らしより、等身大の暮らしを


──わかります。仕事や人に対しては丁寧でいなければダメですけど、プライベートはそのかわりすごい力を抜くっていう。

もうちょっとニュートラルでいられる方がカッコイイ。時代もそうなってきていて、ポートランドの流行が今までずっと続いてると思うんですけど。ポートランドって頑張って生活するのがしんどい人が集まってきた場所なんです。でも日本に輸入されてくるポートランド像って、丁寧な暮らし、めっちゃ頑張ってるみたいな。


──あちらのものづくりの姿勢も、流行りでうたわれていることとちょっとズレてますよね。

そうなんです。めっちゃ雑なんですよ、あいつら(笑)等身大だから、基本的に商売として儲かることがやりたいんじゃなくて、自分のやりたいことがやりたいから、そこにいる人たちで。


──そこがフューチャーされていないっていう。

「これがカッコイイ」「これがイケてる」みたいな紹介のされ方をするから、俺はちょっと違うなと思って。


──そうですよね。もっと本質を伝えて、広まるべき。

だから、ファーマーズマーケットがイケてるんじゃなくて、顔が見えるところで買いたいからそうなってるわけで。農家が直接売りに来ることはすごくいいことなんです。でもそれがオシャレなわけではなくて。流行り廃りでやられちゃうから、日本で文化として根付かないんですよね。


──貫かないしね。

本気のポートランド的なことを見せてやろうと思って。等身大の生活がいいじゃん、それでいいじゃんって。


──それを日本人が日本でやることに、意義があると思うんですよね。

そう。僕はやっぱりアメリカの服が好きだし、アメリカの文化が好きで。日本とアメリカってそんなに変わらないんですよ、生活水準も。多くの人が海外に行ったことないし。それは日本と一緒。日本のヤンキーみたいな奴もアメリカにいるし、引きこもりみたいな奴もいるし。だけど、一番違うのがDIY精神。自分でやってみる。


──飛び込む、というか。

わからないから自分でやってみるとか。でもそれってアメリカだから成り立ってるわけで。隣の家が200キロ先にあるとか、だから助けて欲しくても自分でやるしかないって言うのもある。アメリカ人が旧車に乗るのも、それなんですよ。直せるから乗ってるだけで、電子制御の車ってぶっ壊れたら直せないから。大量消費の国なんですけど、実はそういうところがアメリカだし、すげーカッコイイところ。



ポートランド流行りの次を目指して


──木村さんの物事の見方好きだな。常に本質見てますよね。

いや、都合のいいところしか見てないですよ。ははは(笑)
表があったら裏側があるしっていうのもそうなんですけど。本物じゃないものにすごい違和感があるというか。だから今必要なものって何なんだろうってなった時に、ちゃんとセレクトされてるもの、丁寧に暮らさなくてもいいものを取り扱いたいなって思って。

今回の「LIFE SPEC CO-OP」のコンセプトが全部そうなんです。出店している人とかもビーガンフード売ってるけど、スペシャルティコーヒーを売ってるけど全然意識高くない。その人となりも含めて、ブランドだと思っているんで。僕らはポートランド流行りの次というのを作りたくて。

機械で作ってはいるけど、大量消費じゃない。ハンドメイドは幸せになれる人の人数が少ないんですよ。自分で作って売るから、自分しか儲からないし、買える人が超少ない。それをちょっとマスプロダクションにしてあげると、それで飯が食える人がすごい増えるんですよね。作ってる人、販売してる人、経営してる人。さらに買える人が増えるから、それで幸せになる人がすごく多い。今回イベントに呼んだ人っていうのはそういう人たちや、ハンドメイドだけど、量産性を求めている人たち。

ある程度まとめて作るってなると、クオリテイが安定するんで、ハイクオリティになってくるし、これを大量消費しない形で流通できたらめちゃくちゃいい。


──うん、そうですね。理想ですね。

だからビジョンでいうと、そういうお店が作りたいのと、東京で自分たちで物を作る量産型の工場をやりたいんです。っていうのは、作りたいモチベーションの奴がみんな東京に集まってるから、大阪でアパレルの専門学校とかが成り立たなくなっていて。だから、東京に来るしか洋服の勉強ってできないんですよ。そこの子達をちゃんと育てられるような工場にしたいなって思っています。

インタビュー・構成:ミズカ、写真:もんとみ




  • ALL YOURS STORE


  • 住所東京都目黒区東山3-18-9 レインボー倉庫2内
  • 最寄り駅東京急行電鉄田園都市線「池尻大橋」駅から徒歩5分
  • TEL090-1049-0701
  • 営業時間12:00~20:00
  • 定休日月曜日・火曜日
  • URLhttps://www.allyours.jp/



ライター

ローカルデータ編集部

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