2017.11.05

【インタビュー】舞台演出家、前野祥希さんインタビュー!DJ JUN!?のDIGって〇〇 vol.5

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ローカルデータ番外編、DJ JUN!?のDIGって○○。シリーズ第5回目のゲストは、舞台演出家・脚本家の前野祥希(まえのよしき)さん。お笑い芸人のズドンさんが出演された舞台「どぎまぎメモリアル」の脚本・演出を手がけた方で、その舞台をJUNさんが観に行ったことがきっかけとなり、今回インタビューに応じてくださいました。

10月公演の「ゴゴゴゴーストワールド」に続き、 11月に「青春フルスロットル」を控える前野さんに、演出家を目指そうと思ったきっかけやお仕事をする上で大切にされていることなどをお話していただきました!



【インタビューを受ける人:前野祥希さん】

1991年3月23日生まれ、O型、千葉県出身。
役者を経験したのち、舞台演出家、脚本かとして活躍中。劇団「バルスキッチン」主催。
主な作品にバルスキッチン「大江呂温泉物語」(作・演出)、スクランブルプロデュース「どぎまぎメモリアル」(作・演出)などがある。

◆公式サイト ◆Twitter



【インタビューをする人:DJ JUN!?さん】

95年からキャリアをスタートさせ、DJを核にドメスティックブランドのモデルやデザイン、MCなど幅広く活動。ジャンルレスな選曲でダンサー達を魅了し続ける。ローカルデータが取材したことをきっかけに、本コーナーの担当に。

◆サイト ◆Instgram



舞台演出家の仕事とは


──早速ですけど、下北沢や世田谷区にゆかりとかあったりする?ちょうど4月にJUNさんが観に来てくれてた舞台の稽古場が下北沢だったんですよ。スタジオを1ヶ月お借りして、ずっと通ってました。その舞台に出演してくれたズドンさんがこの辺に縁があるというので、一緒に飲みに行ったり、いろんなところに連れて行ってもらったりしましたね。

安い飲み屋が多くていいですよね。だいたい僕がお金を出すんですよ、多めに。演出家だから(笑)「ああ、高いところ嫌だな」って心の中で思いつつ、高いところが下北にはないもので。スゲェ助かりましたね。
──ちょっと多めにね(笑)お仕事について聞かせてください。舞台監督さんでいいのかな?演出家とか脚本家っていうポジションですね。舞台監督とは全然別の仕事なんです。それもせっかくなので発信していきたいんですよ。──なるほど。では舞台監督、演出家って具体的に何をやるの?舞台監督はいわゆる劇場に入った音響さんとか照明さんとか、いろんな部署を仕切る人で。全部やることが決まってる中で、この準備はこれで大丈夫だよねとか。こういう機材入ってくるからこういう段取りしようかっていう。
僕がやってる演出家は、役者さんにこんな芝居でやっていこうとか、こういうことをやりたいっていうのを作っていく仕事。脚本も書くんですけど、脚本書いて演出しての繰り返しというか。
──登場人物とかも全部自分で決めるわけじゃないですか。ってことはキャステイングも自分でやるんですか?自分の団体でやる時はプロデューサーがいても、主催が僕なのである程度は権限があったりするんです。自分が本を書いているから、イメージに合う人がやっぱりある程度自分の頭の中にあるから、こういう人をオファーしようかなとか。



何が一番お客さんにとって嬉しいかを第一に


──脚本を書くときにこだわってることとか、譲れないことってありますか?例えば、何か一個自分の中で芯があって、物語が違うものができてるとか、自分に癖があるとか。そもそも最初は本に自信があんまりなかったんですよ。
っていうのも、一発目に自分の団体で初めて脚本と演出をやったときに、稽古中にキャストが笑ってくれていて、これで大丈夫だろうと思って本番ってなった時に、同じ業種の脚本家さんとかもやっぱり呼ぶじゃないですか。お客さんとして。
で、俺より暦はあるけど別に売れてはいない脚本家さんに感想を聞いた時に、半笑いで「いや、本書き直した方がいいんじゃない?」みたいな感じで言われて。そこでムカついたけど、改めないといけない部分がないわけではないのはわかっていた。絶対によくする方法はあるだろうし。

とは言っても決まったルールがあるものじゃない。つじつまだけは絶対合うようにするっていうことすらも、もはやなくてもいい可能性だってあるから。難しいのは、つじつま合わせたほうがお客さんにスッと入るのか、それすらも蹴っ飛ばして、何か面白いことをしたほうがお客さんにとって面白いかとか。

書いているのが基本コメディなので、何が一番お客さんが嬉しいって思うかしか考えない。なので、自分が書きたいものっていうのは第一優先にはないですね。お客さんだったら、こんなの見たら面白いでしょ「俺、面白いと思うんだけど」っていう提案みたいな感じで書いてますね。
──やりがいや醍醐味を感じるっていうのは、お客さんが見てくれて笑ってくれること。そうですね。狙ってるところとか、このくだり面白いよなぁって思ってたところがウケれば嬉しいし、滑ればキャストのせいにすればいいやぁ(笑)「お前の芝居はだめだ」って言って(笑)──ははは!(笑)嘘なんすけど(笑)



──前回の舞台を観に行かせてもらって、めちゃくちゃ面白かったです。ありがたいことに、小劇場にも関わらず大盛況で。「あの劇場であんな湧いてるのは見たことない」とも言ってもらえたり。セットとかも照明さんとか音響さんとかにも相当無理してもらって。実を言うと、小さい規模でやるんだったらたかが知れてるようなものしか正直できないんですよ。やっぱりお金がかかるし、かけちゃえば回収も無理だから。

僕が単純に面白いものを作るっていうので、チラシに「あなたはここで伝説を目撃する」みたいなよくわからないフレーズを書いたんですよ、全く関係ないんですけど(笑)
照明さんとかスタッフさんがフライヤー見てくれていて「すみません本当無理ばっかり言って」って言ったら、「え、だって伝説作るんでしょ?」みたいな(笑)
──ははは!(笑)フライヤーのフレーズに助けられた(笑)


▲そのフライヤーがこちら。

──フレーズ勝ち。その人と初めましてだったんですけど、結構いいところまでお酒飲んだら、いけました。ははは!(笑)──なるほどね!そういう付き合いもね大事だよね。それこそ下北の串揚げ屋で。僕も酒好きなんで、飲める人はみんな一緒にやっていけると思っているくらい、すごく適当に。人付き合いが仕事付き合いになればいいって思ってて、そもそも嫌いな人とあんまり仕事したくないんです。
そういうやり方をしていったからか、残ってくれてる人たちは理解があるというか。

そこの空間にいてくれてるメンバーは今でも仲間でいれてるなっていう。あの空間であそこまでの興奮を味わえたのはスタッフも役者もあのメンバーだったからなんで。そういうのがたまらないですよね。
──逆に大変だったな、これは辛かったなみたいなことって?演出家として、僕は大変にならないようにまず構築するっていうのを基本にしているんですけど。今後あるかなぁっていうのは、コメディを主体としているから、センスが合わなくて単純に作品を役者さんが好きになってくれない状態でずっといっちゃったら嫌だなぁとか。

脚本見せた段階で一緒にやるって決めてるから、基本的にはならないんですけど。脚本も見せない段階でキャスティングが決まっちゃうっていうパターンももちろんあるし、蓋開けてみたらつまんねーじゃんっていうタイミングがいずれ訪れる可能性はあるので。それにならないように頑張って俺も書くんですけど。

性格とかも、すげぇざっくり言うとノリがいい人が好きなので。そもそもノリがよくなくて役者なんてやってるんじゃねぇよって俺は思うんですよ(笑)じゃあ、一人でやればいいじゃんっていう話じゃないですか。皆でやるものなのに、それをやる性格じゃないよねってなっちゃいます。


同等の目線で話すために設けたルール


──確かに(笑)売れてる子とかすごいスケジュールがキツキツだったりするし、事務所がこれやっちゃダメ、あれやっちゃダメもいろいろあるんです。僕がコミュニケーションという方法が取れなくなったら、お仕事として難しくなるんじゃないかっていう。
技術だけではまだやっていけてるレベルではないと自分の中では思ってるし、裏を返すと、もはや技術じゃなくていいと思っているので。舞台の演劇自体が。

仲良く気持ちよく、クオリティを高く、どれだけ素直に出せるかっていう、その気持ちすら出せない人も世の中に結構いっぱいて。とりあえず流れだからなんとなくやってる、みたいな。別に自分の気持ちなんか全くなくても、そういう台本だからやってるとか。そういうしがらみが色々あるので、そこを取り除くだけで作品自体が良くなったりとか。

っていうのが俺の武器で、コミュニケーションっていうもので解消できたりするんです。立場上、役者さんからしたらそういう関係になっちゃうんですけど、演出家ってものは。だから僕は、まず「敬語禁止」。〜さんとか、さん付け全部NGで。俺は全くみんなと同等の目線で話したいから、自分自身も敬語は使わない。そこは逆に許してくれっていうスタンスで入りますね。
──まとめるっていう立場にはあるよね。めんどくさくて、嫌なんですよね。あいつ上なのにとか、下なのにとか、もうやめようぜって思います。
やっぱり、わかりずらい職業じゃないですか、普通に世に出ないから。テレビの世界でも、映画の話はするけど舞台の話ってあんまりない。だから、こういう場で話せるのは僕も演劇界にとって嬉しいことだと思ってるんですよね。




演出家を目指すようになったきっかけ


──確かにどんなことをやっているのかなっていうところから、聞きたいなって思いましたね。好きな演出家さんなどはいたりするのかな?目標にしてるとか、この人の舞台面白いな〜っていう人とか。演出家さんで、もともと兄貴的な慕ってる方がいて。おそ松さんっていう有名なアニメがあるんですけど、その舞台化の脚本をされた伊勢直弘さんっていう。僕が役者をやっていた時に、演出を受けたことがあって。そもそも演出家になりたくなったのはその人に会ってなんですけど、演出の助手をやって、憧れの伊勢直弘の技術を学びたいって思った時があって。

たまたま伊勢直弘演出の舞台オーディションをやりますって雑誌にあって、役者しか応募してなかったので、役者として潜り込んで演出能力を奪ってやるって思っていたんですけど、出演者が全員女じゃないとダメだったという(笑)
──ははは!(笑)どうしようもねぇぞこれ、って思って(笑)個人的に連絡が取れる状況になって、いても立ってもいられなくて、深夜2時くらいに「どうしても助手として雇ってもらいたいんですけど」っていう長文をメールで送って。
で、すぐ「うん、聞いてみるね〜」ってさっぱりした短文が来て(笑)、プロデューサーの方がそういうイキのいい奴は全然ウェルカムだよってOKしてくれて。
──話が面白い(笑)前野さんのストレス解消法は?ずっと書いていている時は、もう篭りっぱなし?コメディを書くから、その時のテンションで書いちゃってるっていうのもあって。もう1回読んだ時に、やっぱこれつまんねぇなっていうことあるじゃないですか。
バーッと書くことはできるんですけど、その時しか思い浮かばなかったネタより一週間後にもっと面白いことが思いついたら付け足したいし。っていうのもあって、ある程度のゴールラインを1ヶ月として決めてるというか。

「あー、疲れた」って時は丸1日何もしない日とか作りますね。一切何もしないです。「モンストしか今日はしないぞ」みたいな(笑)もともとがインドアなので、ゲームしたり漫画読んだりが大好きで。
でも頭の片隅にネタ収集したいっていうのがあって、ギャグ漫画とか好きな漫画読んでいてオフのつもりなんですけど、このくだりってやっぱり面白いよなぁとか、勝手に思ったりしちゃうんですよ。ある意味オフでもオフにならないのはいつもなんですけど。一人だとやっぱり仕事脳になっちゃうんですよ。




──本当にもう職業病というか。お笑い芸人でもないのに、何やってるんだお前はって思っちゃいますよね(笑)
なぜこういう面白さになっているかっていうのを、勝手に考えるのが好きで。だから面白いんだよねっていう筋書きが頭の中で理解できないと、僕自身書くことができなくなっちゃうんで。

国語の評価2だったんですけど(笑)勉強できなかったし、学校もちゃんと行ってなかったんですけど、本を書いて褒められた時があって。面白いよって言ってくれる人たちが何人もいると、頑張っちゃおうかなって。勉強するというか、間違いないなっていうようなことを探しに旅に出るみたいな(笑)おだてられるとすごいできるタイプで、怒られるとできないみたいな。
──俺もです(笑)ははは!(笑)だから稽古をやる時も、キャストに対して絶対怒らない。いいところしか見ない。そもそも間違ってるとか思わないし、理解が違っただけじゃないかっていう。
だから演出家とかで灰皿投げる人とか有名な人でいましたけど、そういう話を聞いてビートたけしがコラムみたいなのを書いていて。舞台の演出家は上から物を言って、怒ってりゃいい、そういう奴しかいねぇ、みたいな。今全然そんなんじゃないよって、たけしさんに言いたいですもん(笑)
──ははは!(笑)そんなんじゃないよ、と(笑)結局人を扱える人というか、うまく接せられる人じゃないと演出家は難しいかなって。
怒っていて、ハイハイ言ってくれるような人だけがいるくらいのカリスマ的なキャリアがあれば、成立するかもしれないですけど、作品として良くはならないと思うので。
怒られてやる気出る?って普通思うじゃないですか。燃える人も確かにいますけど、怒られなくても燃えてよって話だから。そういうマイナスになることはしたくないなって。



▲ゴゴゴゴーストワールドのキャストと。

ワンピース方式で仲間を増やしていく劇団

──確かにそうだね。ところでバルスキッチンっていうのは?劇団の団体名です。── 何名くらい所属してるのかな?僕含め5名ですね。それまでは僕一人でやっていたものなんです。プロデュース団体って名前をつけたんですけど、今まで関わってきた仲間たちや、やりたいって言ってくれた人をワンピース方式で集めようと思っていたので。旅しながら、いい奴を集めるぞみたいな。で、いいなと思ったり、意気投合したなって思った人たちをかいつまんで。

ただ同じ苦労をさせる仲間を集めてもしょうがないなって思っていて、自分がどれだけメリットがある人間になれるかどうか。やっぱり仕事に関わっている以上お互いにメリットがないと、僕も嫌だし向こうも嫌だと思うので。メンバーは今後も募っていきたいとは思ってるんですけど。
──ローカルデータを見てくれてる人たちに何かありますか?劇団員を募っての初めての公演をやるんですよ。シアターブラッツっていう劇場で、僕のバルスキッチンという劇団が初めての旗揚げ公演を。
内容はもちろんコメディで、お客さんが笑えるものを用意して。最前列の客席に入れるようになるみたいな、わけのわからない仕組みを作ってるんですけど、今回(笑)
──え?それってどういうことですか?客席の下に台みたいの置いてローラーつけて、お客さんが傍聴人みたいなそういうシーンがあるから、そのシーンになったらお客さんはローラーで動かされて、客席から舞台上に入って、皆と一緒にお芝居を共有するっていう(笑)わけのわからない、見たことないことをやろうかなっていう。──すごいなそれ(笑)11月にやるんで。「青春フルスロットル」。
見たことないから僕もどうなるかわからないんですけど(笑)そこにエキサイティングシートって書いてはいるんですけど、皆でエキサイティングできればいいなって思っています。





劇団バルスキッチン旗揚げ公演 【青春フルスロットル】
【出演者】川岸銀次(バルスキッチン)、横川ユカ、ヒロヤ、森岡朋奈、片田理萌、結城航星、岡崎優、永田祥子、ズドン B、小松金太郎(矢来町Broadway Boys)、長尾壮陽、秋山俊介(バルスキッチン)A、飯塚志織(バルスキッチン)、海雲千帆 B、上野理 A、榊原卓士 B、金井さとし A、加藤光大(六三四)他
※ A・Bの表記のあるキャストはWキャストとなります。
  
【劇場】新宿シアターブラッツ(東京都新宿区新宿1-34-16 清水ビルディング)
【チケット】通常席4500円/エキサイティング席5500円

平日お昼割引回(日程②・④)
通常席4000円/エキサイティング席5000円
チケットのご予約はこちら

※エキサイティング席について
演出の都合上、一部のシーンで席が舞台上に移動し、お客様がキャストの一員となるシーンがございます。小学生以下の方、妊娠中の方、心臓ペースメーカー等の医療機器を装着されている方、けいれん発作や失神、意識障害などの光感受性発作等、制限対象がございます。(限定8席)

【公演日程】
①11/29(水) A:19:00
②11/30(木) B:15:00
③11/30(木) A:19:00
④12/1(金) A:14:00☆
⑤12/1(金) B:19:00
⑥12/2(土) B:12:00☆
⑦12/2(土) A:15:30
⑧12/2(土) B:19:00
⑨12/3(日) A:12:00
⑩12/3(日) B:16:00
(計10ステージ)

☆アフターイベント
12/1(金)14時/2日(土)12時
公演終了後アフタートーク開催!!

【あらすじ】
青春サイコー!イヤッホー!
10分休みだ!サッカーしようぜ!
こんなにラブレターもらったら腕が腱鞘炎になっちゃうな!
○○君って好きな人いるの?
コラー!スカートは適度に短く!
アラビックヤマト机の角に塗るなー!
そんな青春がなくなっちゃうかもしれないハートフルでエキサイティングでスリリングでインタレスティングなお話

【スタッフ】
プロデューサー:島虎太郎/飯島英幸(バルスキッチン)、脚本・演出:前野祥希(バルスキッチン)、舞台監督:福井健介、照明:太田明希、音響:臼井倶里、舞台美術:あべし、宣伝美術:SGK、制作:若林沙織、アクション協力:和泉學人

【公演に関するお問い合わせ]】
baluskitchen@gmail.com
※ 必ず件名に「青春フルスロットルお問い合わせ」と記入し送信してください。
未記入ですと、お問い合わせにお答え出来ない場合がございます。
あらかじめご了承ください。

【協力】
アッシュプロダクション、アデッソ、A- LIGHT、NYプロダクション、Enthena、オスカープロモーション、オッドエンターテインメント(株)、B- tokyo、プラチナムプロダクション、マルパソ事務所、LIVEDOG

【企画・制作】
バルスキッチン

インタビュー:DJ JUN!?、構成:ミズカ

ライター

ローカルデータ編集部

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