2017.11.12

【インタビュー】文化を生み出す活動を始動!デザインと音楽の融合「株式会社APiCA」川野智史さん、深雪さんインタビュー

342view

下北沢のレインボー倉庫内に事務所を構える「株式会社APiCA」は川野さんご夫婦が経営するartwork studio。2015年8月に設立し、フリーペーパー「ART WiTH!」の発行やチラシのデザイン、イベントでの物販などを手がけています。
今回は長く音楽関係にたずさわっていたという代表取締役の川野智史さんと、デザイナーの川野深雪さんをインタビュー。



▲代表取締役の川野智史さんと、デザイナーの川野深雪さん。


誰かに何かを伝える一つのツールとして立ち上げた


──お二人での活動っていうのはどのぐらい前からされてたんですか?

私はフリーでグラフィックのデザインをやっていたんですけど、10年を区切りに自分もステップアップするのにどうしようかなと思って、法人に。その時にちょっとデザインだけだとなと思って、彼に一緒にやろうよって。
音楽をやっていたっていうだけで、何か音楽のことやればいいじゃんみたいな感じで(笑)特に何も考えないで(会社を)作ったのが、2年前の8月なんですけど。そこから彼はイベント、私がデザインを。リンクするところ、しないところもあるんですけど、それぞれの部署で一人ずつやっているみたいな感じです。



──最初からその2つを融合させようっていうわけではなくて、たまたま持ち寄ってという感じだったんですか?

僕は融合させようとしましたね。僕はサラリーマンをやりながらイベントや音楽をずっとやっていて。デザインにしても僕がやってる音楽の活動にしても、一つ広告っていうジャンル的には同じかなって。
誰かに何かを伝える一つのツールとしてイベント広告デザイン会社だったら、2人で力を合わせてできるっていうことで始まった。


私が音楽に全く興味がなくて、わからないんですよ。一番苦手なのが音楽のフライヤー制作なんです。結局ここが全然繋がらなくて、悶々とするというか。2人で交わらなきゃいけないのはどこなんだろうって、ずっと模索はしていたんですよね。今年の9月にフリーペーパーを出そうと作ってみて、今会社として走り出した感じです。


文化を特集するフリーペーパー


──つい先月くらいの話ですよね。

それまでの2年間っていうのは各々のセパレートで別の仕事をしていたっていう感じですね。会社を作った意味みたいなものが見出せないというか。自分たちはこれができますよっていうものはあるんですけど、そうではなく皆にわかりやすい自分たちにしかできないもの、とにかく作品が作りたかったんですよね。
一つはレーベルの立ち上げで、音楽業務の物販というか流通関係。もう一つはそれを外にアウトプットしていけるフリーペーパーっていうのを自分たちの会社の作品にって、やっとできたのがつい最近です(笑)それまでは全然もう、お互い何の仕事をしているのかよくわからない。



▲レーベル「TRANCE FACT」から出ているバンド「shuhari」。


▲バンドTシャツなどを、その場でライブプリントしている様子。


会社名のAPiCAの「i」が星になっていて、この星の角が5個なので、5部門立てようっていうことにして。今レーベル、デザイン、フリーペーパー部門の3つで、あと2つ何かっていうところ。レーベル立ち上げたのも今年の6月なんですよね、だいぶぎゅっと詰め込んだ感じ。

日本って結構文化とか芸術に対してあんまり積極的じゃないところもあるなって思っていて。気軽さが日本ってあんまりないじゃないですか。そうすると広がらないんじゃないかなってすごく思っていて。
わからない話もできるだけ敷居を低くして、芸術や文化に触れられるもの、素人でもわかる、ちょっと聴いてみようかなって思わせるものはなんだろうって思ったのが、フリーペーパー製作の発端で。
アートとかファッションとか、食べ物もそうなんですけど、文化と呼ばれるものを特集しながら話を聞くっていう、読みもの的な試みの第1弾。


そもそもAPiCAっていう名前の由来なんですけど、Art、Typical、Cultureの造語なんですよ。象徴的な芸術文化みたいな意味で。会社を立ち上げた時にコンセプトとしてあるのは、自分たちが自分らしく表現していく中に、人も巻き込んでいけたらいいなっていうのが前提としてあって。で、さっきの2年間何もできませんでしたっていうくだりがあるっていう感じですね。



──音楽って具体的にはどんな活動されていたんですか?

僕はもともとバンドをやっていました。でもバンドってそれこそ会社っていう感じがするし、難しい。続けていくにはお金がかかったり。一人でできる音楽活動なんだろうなって、DJをやってみたりとかイベントをやってみたり。あとは友達のバンドを応援して、フィールドができたらいいなと。
一つの大きなきっかけが、自分が何もできなくなった時に人の音を出すようになって、そういうのも面白いなと思ったんですよね。音響関係の仕事もやってたりして。自分の表現ではなく、人の音を自分のフィルターを通して誰かに伝えるみたいな。



──バンドだったり、DJだったり、プロデュースや演出側だったり。いろんな立場になって音楽と関わってきた感じですよね。

そうですね。



最高の条件が揃った場所


──活動場所をこちらにした理由っていうのは?

それもまたね、長くなるんですけど(笑)会社を立ち上げて、何をやろうってなった時にこういう場所(レインボー倉庫みたいな)をやりたかったんですよ。
彼女は受けの仕事ばっかりが嫌で、ユーザーと繋がっていけるようなデザイン。リアクションがすぐ返ってくるデザインがやりたいっていう話をしていて。お店や飲食店でそこを窓口にお客さんと繋がっていけるような場所というか。
僕だったらイベントができます、セミナーやりますって言ったらどれだけの機材が必要か。じゃあそういうクリエイターの人たちが集まって、なおかつイベントもできて食事もできるところ。
ちょうど僕らが会社を立ち上げると同時くらいにここができて。そういえばこういうところがやりたいんじゃなかったっけって。もう最高の条件だなって思いましたよね。





▲レインボー倉庫内のカラフルな事務所外観と内観。自分たちで好きに内装を変えられるのもこちらの特徴。


▲レインボー倉庫の屋上でアコースティックのイベントも開催。


──他の条件も揃ってるわけですもんね。

シェアオフィスをやりたいっていうところからスタートして。自分たちが探していた時はクリエイターだけとか閉鎖的。下北にもいくつかあるんですけど、電話をするのもはばかられるくらい皆シーンとしているとか。

打ち合わせで使いたいのに、図書館みたいな静けさだったりするから、これじゃできないよねみたいな。

ここは自分が思っていたものを体現しているんだなって、正直運命的な感じでしたね。やりたいって思っていて、皆がハッピーという場所があったなという感じ。


──ゆくゆくはご自身たちでこの形を作るつもりで?

作りたいですねぇ、それはずっとある。逆に言うとずっとここにいようとは思っていないというか。

皆が気軽に来れるコミュニティの場が自分たち発信でできればいいなと。イベントやるのも音がどうのとか、規制がかかりますよね。お金の交渉とか。そうなると自分たちでやった方がもっと幅広くできるなって言うだけの話なんですけど。


自分たちの働きが、誰かのためになる


──お2人の得意分野って別々じゃないですか。逆に共通している部分ってどこなんですか?

2人で協力しないといけない瞬間とかに見えるのは、「文化」っていうところで繋がるんですけど、多分それは「人」ですかね。自分たちの働きが、誰かのためになるというか。
3本の柱がなかった状態の時って会社自体が大変で、屋根を作りたいと。作らないとダメなんだなと思ったんですよ。人の役に立っていないと会社って生き残っていけないんだろうなって思って。
会社として人を抱えられて、屋根になってその人たちの雨風しのげるような体制を作らないといけない。屋根は3本以上じゃないと立たないじゃないですか(笑)なので、5本の柱を作ろうってなったのはそこなんですね。

それが「ART WiTH!」っていうフリーペーパーに集約されていて、じゃあ「ART WiTH!」ってなんなのかというと、文化を作る。ファッションになったら文化だろうなとは思うんです。ファッションってどうやって生まれるかっていったら多分音楽とアートなんですよね。音楽って目に見えないもので、内面を揺さぶっていくものだと思うんですけど、そこに対するアートワークで一つの世界ができて、第3者に伝わっていって一つの文化に。
今なんか気持ち悪いのが、例えばファッションでもスケートやらない人がスラッシャー着てたりとか。ローリングストーンズのTシャツをローリングストーンズと思ってなくて着てる人とか。ああいうのはすごい違和感で(笑)ははは。





音楽にも、アートにも国境はない


──わかります(笑)

ははは(笑)

ちょっと交通整理をしたいというか、そういう文化を作っていかないといけないんだなって。「ART WiTH!」は僕の中では広告部門だなと思っていて。アーティストはそういう世界を理解してくれる人の為には一生懸命できるんだけど、それ以外の人たちの存在を知らないというか無視してるというか。
知らない人たちに届けるのが僕らの仕事だなって思うんですよね。知らない人たちに興味を持ってもらって楽しんでもらう。そのために手に取ってもらう。だから紙にしたんですよ。WEBだと自ら興味があるところに取り込んでいかないと情報が得られないので。


文化って漠然としすぎて全然わからなかった中で突き詰めた結果、文化が栄えてるところって世界平和なんですよね。芸術文化を盛り上げていくことで地域が活性するし、ひいては国も活性するし、世界も活性するっていう。国境がないんですよね。音楽に国境はないし、アートにも国境はないので。


──あの、個人的にすごく聞きたいんですけど、私は音楽好きなんですよ。音楽に全く興味がない心境ってどんななのかなって。

ははは!(笑)聞きたい。聞いてください(笑)

普通に学校とかで勉強しても音楽が楽しいってあんまり思ったことがなくて。クラブに行っても音がうるさいし。音にあんまり慣れてないんでしょうね。映画館とかもそうなんですけど。


──音自体に反応してしまうってことですか?

そうですね。そこは全然解明できてないんですけど。ライブハウスで音がデカイのがもう何がいいのかわからない。踊ってる意味もわからないとか思っていたし。異文化ですよね、自分の中では。
あと音楽をやってる人たちが自己満足の人ばっかりだって思ってたんですよ。すごい悪い言い方しちゃうんですけど、「かっこいい俺を観てくれ」みたいな。本当に無いわ…って思っていて、それをずっと引きずって、いい音楽っていうのがなかなか聴ける状態じゃなかったんじゃないかなって思うし、それを教えてくれる人もいなかった。






──今はどうなんですか?

今はフェスとかにスタッフで行って良くも悪くも音楽に触れる機会があるので、自分なりにいいと思うものを探しているっていう感じです。ようやく音楽を聴くことができる状態になれたなっていうか。
自分で良いっていう自分の意見に対して怖かったのかもしれないですね。アートもそうなんですけど。人の目とか気にしたり、ブランド寄りに考えてしまうような性質だったのではないかなと思っていて。音に対してすごく違和感というか、単純に歌をやってる人なんか、チャラいなって思ってたんです(笑)



──へぇ〜、面白い。こういう音楽のとらえ方、初めてじゃないですか(笑)

偏見がすごくあって。

そこでよく理解できるのは、確かに良い音楽もあるけれども、悪い音楽もやっぱりあります。悪い音楽っていうのは曲が良くないっていうことではなくて。聴いてはいけない音楽って言えばいいですかね。同じ時間を共有するっていうことじゃないですか、音楽って。
いいものに触れれば、きっといい人に出会えたり、いい人間になれたりしていくと思うんですけど、やっぱり悪い音楽って悪い方に行ってしまう。やめた方がいい人もめちゃくちゃいますね。だからそういう人が出てもしょうがないなとは思います。
だからこそいろんなプレゼンの仕方は散々してきたし、いい音楽を僕自身はアウトプットしていきたいと、一応考えてはいますね(笑)ははは。



──身近にこういう方がいてよかったですよね。それこそ知らない人に広めていくっていう、その指針がすぐ近くにいるっていう、ね。

そうですね。そういう意味ではちゃんと伝わるので。これはなんでかわからないけどいいと思うんだけど、これなんなの?みたいな。となると説明もしやすいというか。

そんな私が作ったフリーペーパーなので、だいぶハードル下げますよね。

だからこの人にわかるように表現できれば。ははは(笑)


──まずは突破するのはここ(深雪さん)っていうことですよね。

フリーペーパーを作ろうと思いついたことが私の中で革命ですもん。結局それを知ろうと思うところに行ったっていうところが。

これ僕発信に見えて、この人発信なんですよ。実は。


──そこが面白いかもしれないです、このフリーペーパーの奥の底。誰が作ってるかっていうところが。

そうなんです。音楽やってる人も周りにすごく多いんですけども、非常に申し訳ないんですけど、そういう人に対して偏見があるんだよねって言うと、「ひどいです!」とかってすごい言われるんですけど。演者さんとかの話を聞くと、人を見てるんですよね。音楽というよりは人を見て判断するところがあるので、その人がやってる音楽だったらかっこいいとか、自分なりに良さを見つけることができたので、今はだいぶマイペースに見れるようになったんですけど。





▲フリーペーパー「ART WiTH!」。


──なんか逆にあまり小慣れて染まらないで欲しい。

ははは!(笑)

本当ですか(笑)


──その感性を持ったまま作っていって欲しい(笑)

全然染まりきれない(笑)見てるところは多分人と全然違います。演者さんよりも、演者さんに対して楽しんでる人を見たりとかして。やっぱり外人が歌っていると外人がノリノリになってるなとか。それってなんでだろうとか、そっちを考えたりする。


──このあとの柱の2本っていうのはもしかすると全然違うことっていう可能性はあるんですか?

音楽もそうですけど、「ART WiTH!」に近いようなことかなぁとは思いますね。ファッションとか音楽とかアートとかの人たちと繋がっていく中で、その商品自体をアウトプットできる場所が必要かなと思ったりもするので。


──よりカルチャーを視覚化していくみたいなことですよね。うまく回るような土台作りをできたらっていう。

文化にならないんだったらダメっていうか、違ったんだなって思うんですよね。だからやっぱりそこを目指す、目指しているっていうのは付け加えたいっていう感じですかね(笑)

意味のないものはやりたくないっていうことだよね。「よかったね、素敵だね」っていうよりは、それについて皆がどう思うのかとか、自分自身何を持って帰るのかみたいな。


──文化=ファッションで、ファッションって見た目というか視覚的要素が強い。だけどそこにはちゃんと中身があって、外見と中身が一緒で文化になる。

そうです、そうです。精神的な部分というか。極端な話、もう時代っていう形にもなると思います。時代を作るみたいなことになってくる。

中身が必要だなっていう。チャラくなっちゃうんで。



▲終始気さくに丁寧に一生懸命お話ししていただいた姿が印象的でした。


──そうですよね。そういうの嫌いですもんね(笑)

ははは!(笑)フリーペーパーとかもハードルが結構あるんですよ。



──でも中身があるかないかってわかりますからね。伝わっちゃうから。

フリーペーパーが広まっていくと載せて欲しいっていう人は多分いると思うんです。その中でもこっちの哲学じゃないですけど、それが言えるようなものを作りたいなとは思っていますね。

逆に言うとそういう表現をしてない人とは、多分交わらないと思うんですよね。本当に表現している人はちゃんと独立しているから、どんな場所に行ってもブレない。
だから何でもやりまっせっ!ていうのが一番良くないんだろうなって思ったりしますね。言いがちなんですけど(笑)




インタビュー・構成:ミズカ、写真:もんとみ




  • 株式会社APiCA


  • 住所東京都世田谷区北沢2-19-5 レインボー倉庫3 ♯014
  • 最寄り駅京王電鉄・小田急電鉄「下北沢」駅 南口から徒歩1分
  • URLhttps://www.facebook.com/apica.inc/

ライター

ローカルデータ編集部

このライターの記事はコチラ

あわせて読みたい関連記事

人気記事ランキング

ページの先頭へ