2017.11.28

【インタビュー】多くのミュージシャンが愛用するCRAZY PIG初の海外旗艦店が下北に!創立者のアーマンド・セラさん、日本代表小清水宏さんインタビュー

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今年25周年を迎えたロンドンのジュエリーブランド「CRAZY PIG DESIGNS(クレイジーピッグデザインズ)」初の海外旗艦店が、11月25日下北沢にオープンしました。今回は創造者でありデザイナーのアーマンド・セラさんとクレイジーピッグデザインズジャパン株式会社代表の小清水宏さんにインタビュー。ジュエリーのデザインがどのように生まれるのか、オフィシャルショップである東京店ではどんなサービスを受けられるのか、下北沢を選んだ理由などをお話していただきました。



▲インタビューを受けてくださったアーマンド・セラさん(左)と小清水宏さん(右)。


ロンドン店の雰囲気を丁寧に再現



──日本に「CRAZY PIG」ができるまでの経緯を聞かせてもらってもいいですか?

もともと彼(本国デザイナー アーマンド・セラさん)との付き合いが、20年くらいになるんですけども、最初はただの憧れの存在でしかなかったんです。私もジュエリーを作るんですけど、こういったものを私も作れるようになりたいということで、押しかけ修行のようにしてご縁が始まって。
ここのお店もロンドンのお店と、レイアウト、床の感じから壁の漆喰の感じまで、可能な限り忠実に再現したつもりです。ロンドンに来たお客様がここに来ても全く同じ雰囲気を味わえるというように。彼もびっくりするくらい。
自分の店なので、できる限り自分の店づくりに関わりたいと思い、解体から内装まで半分くらいは作業に参加したのですが、大工さんたちの素晴らしい仕事に感謝しています。



──へぇ〜!


彼と彼の奥さんに、「CRAZY PIGエクスペリエンス(体験)をあなたが提供するのが使命よ」っていうことをずっと言われてきたので、それを果たすために頑張りたい。



──ロンドンの内装っていうのはアーマンドさんが?


そうですね。オープンして25年になるんですけども。当時はお金もなかったもので、自分たちでほぼやったらしいんです。それによって逆に手作りの風合いが。カウンターを見てもらうとわざと傷つけたりとかしてるところがあるんですけども、今回はそういうのもできるだけ再現できるように。
ロンドンのお店は25年間の足跡や、お客様がカウンターに手をついてだんだん木がすり減ってきたりとか。25年の年月を感じられるような、今すごいいい雰囲気にロンドンは仕上がってますね。




▲東京店の内装。シンプルながらも温もり感がある店内。



──ロンドンの内装を手がけた時に何かコンセプトみたいなのってあったんですか?


妻と僕はアメリカのカントリースタイルがとても好きで。自宅にもこういうバッファローの骨があったりとか、アメリカのいわゆるカントリースタイルの家具であったり、床も古い木を使っていたりとか。それと同じような雰囲気にしたかった。




カントリースタイルの中でも特にインディアンっぽいような、いわゆるアメリカのネイティブインディアン。今は家も全然違うんですけど(笑)



制作は外部に委託をせずに工房で行う



──で、ロンドンの工房には小清水さんもいらしたんですよね?


ロンドンのお店は地下が工房になっていて、外部に委託したりはしなくて。上のお店でオーダーを受けて、下の工房で作ってすぐお渡しするっていうスタイルなんですけれど。
私は21年会社員として勤めていて、定期的に2〜3週間休みをとって地下の工房で働かせてもらっていたんです。英語はそんなに得意じゃなかったんですけど、向こうもおおらかというか。だんだん「ちょっと飯食ってくるから店番やっておけ」とか(笑)



──それまで小清水さんは日本でジュエリーを別の会社で作られていたんですか?

そうですね。職人さんの元に週に何回か通って教えてもらっていました。あと自宅に工房を作って自分で製作したりしていましたね。


──なるほど。


今、CRAZY PIGのロンドンのショップだと下に工房があって、4人ほど働いているんですけど、今は僕の自宅にも工房があるのでそっちでも働いているんですよ。



彼がここにある全てのデザインをするんですけども、お店にいるとお客さんが彼に会いに来たりとかで。集中が途切れないようにほとんどはそこで新作を作っているっていう状況ですね。





アイディアリストから生まれるジュエリー



──新作ってどういう状況でできるんですか?


1125種類のデザインをしてきています。全部違うデザインです。



──デザインは都度のひらめきですか?


いつも小さな紙を持っていて、骨のリングとか、コウモリのリングとか、作品のタイトルや名前だけ書いておくんです。絵は描かない。




例えば面白そうだからコウモリの何々を作ろうとか、流星とか、頭にひらめいた絵を文字だけにしてリストにしておくらしいんですよ。




12個くらいのアイディアを1枚の紙に書いて、その中から1個ちょっとやってみようってやってみて、ちょっと置いておいてまた次のをやってみようって感じでどんどん広げていくんです。時に図案を起こすこともあるんですけど、それはいつも簡単なもので、時間をかけてすごい細かいところまで描いたものではない。図面だと結局平らなので、それに何時間も費やすというのは意味がない。




指輪とかって立体なので、平面に絵を起こしたところで結局それと同じものではない。作りながら立体に起こしていくってことですね。



──頭の中にあるイメージを直接形にしていく、ということですね。


夜ベッドで横になって、目をつむるとその時に完成図が頭の中に入っていて。例えばリングだけじゃなくてフェラーリの車とか素敵な女性を見た時とか、目をつむればその中で自分の中でデザインが完成している。それはまだ創造していないです。自分の工房に毎日行って、行った途端に掘り始めるというか。それで立体で見て自分の中で完成に近づけていく。






最初はデザイナーではなく、ショップの販売員から



──アーマンドさんが一番最初に作ったものってなんですか?


面白いですよ。聞いてください、ちょっと長いですけど(笑)




カーナビーストリートというロンドンのインディアンジュエリーとか、メキシカンジュエリーとかを扱っているお店で働いていたときなんですよ。




その時彼は作る側じゃなくてアルバイトの販売員だったんです。




1週間に2回だけそこで売るだけのバイトをしていて。お店のジュエリーを全て見たけども、何も好きなものはなかった。



──ははは!(笑)


お金が欲しかったからアルバイトをしていたけど、好きなジュエリーが全然なくて。興味もなかった。
ある日お店に来た一人のお客様に、小さなシルバーリングで小さなドクロのついたリングを作ってくれないかと言われたんですよ。そこにも工房があったので、上司にそういうリングが欲しいっていうお客様がいるんだけどって言ったら、皆が顔を見合わせて「とっとと帰れ」みたいなことを言われたんです。だけどお店に戻ってそのお客様に「ああ、問題ないです。お作りしましょう」って言って。



──それはご自分で?


そうです。お店が終わった後に工房に行って一人の職人さんに、これがリングを作る時に使うライト、これがハンマーだよ、ドリルだよとか、いろいろ教えてもらって。30分くらいのレッスンをして。
それでお客様のオーダーを取って、「だいたい2〜3週間で出来る、多分50ポンドくらいかな」て言っていたんですけども。その時の作品がこの小さいドクロに少し似てる。同じような感じ。




▲初めて制作した作品に似ているというリング。


すごくシンプル。

──うん。シンプルで可愛い。

これがきっかけで、できるんじゃないかなって。シンプルにいろいろなことをやっていった。そうしたらそのお店でだんだん僕の作品を置いてくれるようになって。最初は1週間に2日が3日になり4日になり、結果6日になって、10年間そこのお店で働いていたんですよ。


──結果10年。

僕はギターを弾くんですけど、UFO、シン・リジィ、スコーピオンズ、ビリー・アイドル、メタリカや、このカタログの中に載っているように、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズとか、ジョージ・ハリスンとか有名なミュージシャンがいて。自分のスタイルでジュエリーを作り始めたんですけど、それはこういうミュージシャンの方々のためでもあるんです。



ちょっとそこを補足すると、彼はもともとフランス出身なんですけど、すごくロックスターに憧れていて。そういったチャンスを求めてイギリスに渡ってバンド活動をしていたりとか。音楽関係の仲間っていうのがすごく多かったですね。有名になる前のメタリカであるとか。そういう繋がりでのお客様がどんどん増えていったというような感じだと思います。



ロンドン店のある通りと雰囲気が似ている下北沢



──お店の場所を下北沢に選ばれたのって、下北沢カルチャーの中に音楽というのがあるじゃないですか。そういう背景もあってということですか?


それも一つありますね。選んだ理由は、彼のお店はロンドンのコヴェントガーデンっていうところにあるんですけれども、そこは個人で営業しているようなお店がたくさんあって。いわゆる大手の大きなお店っていうのがそんなにない単純な通りなんですね。日本でお店を探している時に、私が目指していたのがロンドンの彼のお店と同じような雰囲気の通りがいいなと思っていたので。
例えばお向かいの通りがお店で、両隣もお店。一つのストリートのコミュニティみたいなのないのかなって思っていて。もう何年も前からこの辺にいい場所がないかぐるぐる探していて。




▲ロンドン本店。設立から今もコヴェントガーデンに店舗兼工房を構えています。


──じゃあ、たまたまというよりは下北で探していた。


だけではないですけどね。特にこの通りがユニークで、すごく下北沢で気になっていて。



──それでタイミングよく空いたと?


はい。その日に見つけて、そのまま不動産屋に行ってお願いしたっていう感じです。とにかく周りに個人のお店が並んでいるのが希望だったので、かなり希望に近い場所を借りることができたと思います。彼も面白い通りじゃないかって気に入ってくれていて、すごい良かったと思っています。



熱量が高い日本のファン



──アーマンドさんは日本には結構いらっしゃっていたんですか?

初めてです。


もともと日本のセレクトショップなどが彼の作品をいくつか紹介はしていたので、日本でも固定のファンの方がものすごくたくさんいらっしゃるんですね。日本の有名なミュージシャンがつけてたりするので、そのファンの方とかも。

日本のファンというのは、熱心でただ買うだけじゃなくてデザイナーに会いたいとか、どういう理由でこのデザインを作ったのか聞いてみたいとかっていう、ものすごい熱量が高くて。それを話したら彼もファンに是非会いたいとなり、今回来たということです。先日のレセプションパーティーでは、皆さんとっても楽しかったみたいです。






▲オープン前日に行われたレセプションパーティーの様子。デザイナーのアーマンドさんに直接会え、お話ができるとだけあって楽しい雰囲気に。


──イギリスではどうなんですか?日本とのお客様の違いみたいなのって。


かっこいいから買うっていう。ビジネスマンの方から本当におじいさん、おばあさんまで自分がかっこいいなと思ったらすぐ買っていくような感じですね。熱狂的なファンということになると、日本の方が熱量の高さが全然違う。



日本のお客様は上品で良い方が多いですね。



──小清水さんが日本でブランドを紹介し始めたのはいつくらいからなんですか?


そうですね、私がこのブランドのことを知った時には、ある程度日本にも知る人ぞ知るっていう感じで有名でしたので、私が特に広めたということはないんですけども。
ただ、限られたものしか日本では紹介されていなかったりとか、ジュエリーの世界って外注に出して、デザイナーは絵を描くだけで後は名の知らない誰かが作っているっていうのが結構多い業界ではあるんですけども、彼の場合は全て自分といわゆる弟子のような人たちが作って仕上げるっていうスタイルが知られてはいなかったので、そういったことをもっともっとファンの人たちに知って欲しいと思っていました。



イギリス人の気軽さを日本人にも広めたい



──今までのコアなファン以外にもこういう方達にも来て欲しいっていうご希望はありますか?


一番推していただきたいなって思うのが、女性の方とか、年配のそれこそおじいさん、おばあさん。なぜかというとイギリスのお店で、それこそものすごく良い服を着て、ピカピカの靴を履いた紳士がスッと入ってきて、ドクロのカフスをつけて、かっこいいじゃんって買って帰っていく。杖ついたおじいさんが来て、ドクロのネックレスとかをかっこいいなって。
自分が良いと思うものを付けていくという方が多いし、日本でもそういう方がいらっしゃるので、そういう新しい層に広がっていくといいですね



──感覚が、ですよね。


そうです。そういう皆さんにまず存在していることを知っていただかないと、欲しいとも思われないので、そういった方に見ていただきたいです。
日本ではなんでもドクロドクロって思われてるんですけど、実はこういう天然石を使ったものが全体の半分くらい。ダイヤとかルビー、エメラルド、サファイヤが使われたもので。






──日本ではサイズのお直しとかは?


もちろん私が。



──じゃあすぐ直してお渡しできると。


そうですね。それぞれのデザインがどう作られているかっていうのが大体頭の中に入っていて、そこは外注の業者が対応するよりも良い仕上がりになるはずです。



ハードさの中に繊細さが同居



──お客様の選び方ってバラバラですか?象徴的なものってどうしてもドクロになってしまったり?


もっとシンプルなものが欲しいっていうので選ばれている方もいらっしゃいますね。皆さんの傾向としては、最初はインパクトある一番大きいもの。そして、だんだんシンプルなものに。
あとアーマンドは動物がものすごく好きで。動物もたくさんあります。可愛いから結構人気なんです。






──ハードそうに見えても、アイテム一つひとつを見ると、「あ、これは取り入れられそう」ってものが全然ありますよね。女性の方でも。


割とアメリカのブランドとかだと男らしくゴツかったりしますけど、アーマンドはフランス出身なのでどこか繊細で。そういうところが彼のデザインの魅力かなって。
例えばこちらとかも、イギリスの古い墓標みたいなものをイメージして作ってあるんですね。骸骨があってそこによく墓場とかにあるアイビーの葉っぱが絡んでいて、繊細さが必ず同居してるっていうのがすごく魅力があるところだと思います。彼は作りたいから作っただけだとしかいつも言ってくれないですけど(笑)




▲アイビーの葉の動きが1枚1枚細やかに造形されています。


──ははは!(笑)直感の人ですね。一つドクロっていうテーマだけでこんなにも表情が。


ちょっと漫画チックなものとかあって、目と鼻があればあとはなんでも自由だと。彼は商品を作るとデザイン番号を1から付けていくんですけども、7年前にちょうど1000番目のデザインで。ものすごくゴツくて、ディティールの細かいものを期待されているだろうというところ、あえて何も仕上げてないような不完全なものっていう皮肉を込めて作ったそうです。

その時の言葉がこのお店を出すきっかけになったんですが、本人は1000番目のデザインを出したらもうリタイアしようと思っていたんだと言って。よく考えてみれば、彼もいつかリタイアするんだということを思った時に、私はこれが100年後も残るデザインで、もしかしたら100年後は美術の教科書に載っているような人じゃないかっていう想いがあって。
リタイア発言を聞いた時にそれはちょっともったいないなと思うところがあって。彼らのブランドを100年残すために何かできることはないかっていうのが1番のテーマというか、自分に課したミッションみたいなものですね。100年後なんか生きてないじゃんって彼は言うんですけど(笑)




▲あえてシンプルに制作された1000番目の作品。


──でもアーマンドさんは幸せですね。そういう想いでサポートしてくれる方がいらっしゃって。


私も自分で作るし、自分で物を作ることを覚えれば覚えるほど、どれだけこれがすごいっていうのがわかりますし、彼が作るものは彼にしかできない。やはりこれを長く残すこともすごく意味があるんじゃないかと思ったんです。CRAZY PIGの体験を皆様にお届けするっていうところ。



──小清水さん自身でも作られてるから、説明も説得力がありますよね。


多分そういったところで彼も私を信頼してくれたというところはあると思います。


僕のデザインはいろいろなセレクトショップとかで売られていて、ちょっとお客様にとっては不便をかけていたので、このお店ができたことで一本化されるし、ロンドンと同じようなサービスが受けられる。宏(小清水さん)のことは長年知っているし、とても信頼しているので、自分がロンドンでお店をやっているのと同じような状態で日本でも宏が日本のお客様に対して対応してくれると思ってる。


恐縮です。




▲お2人の信頼関係が感じられたレセプションパーティーのスピーチ中のショット。


──最後にアーマンドさんこれから東京店で直接触れ合う日本の方々に、何かメッセージがあればお願いします!

日本の皆さんへ。この25年間日本のお客様に会うのを楽しみにしていましたし、25年経って初めて日本に来ることができて日本の僕のファンの皆様にも、ロンドンと同じものが買えて、オーダーはその日のうちに連絡が来て、すぐに作り始めるのでお待たせすることはないサービスなどができることをとても嬉しく思っています。
今までハイジュエリーっていうのは日本ではお見せすることができなかった。例えば結婚指輪でも婚約指輪でも、あとは特別なリングがほしいという要望があれば、ルビーを入れたりダイヤモンドを入れたりとか。そういうのも今後できます。ここは僕が認めるCRAZY PIGの東京店です。



インタビューを終えて



「好きだから作品を作っている。仕事というより好きだからやってる。妻はもういいじゃない働かなくてって言ってるけど、お客様とかが来て、こういうのを作って欲しいとかリストを見て新しいものを作るっていうのがすごく楽しい。次はもっといいものを、もっといいものをって。」というアーマンドさんの言葉と小清水さんの伝えていきたいという想いがとても印象に残り、下北沢に加わる新しいカルチャーにワクワク感が湧き出て来ました!

インタビュー・構成:ミズカ、写真:もんとみ











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ライター

ローカルデータ編集部

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